この日左サイドとしてスタメン出場したMF井野文太は前半36分と後半40分に2ゴール。「試合が始まる前に須藤(直輝)くんにいっぱいチャレンジしていいぞと言われていて、打ってみようかなと思って。そしたらうまくいったので良かったです」。それでも「自分的にはもうちょっと点を決められたところもあったし、決定機でちゃんと決めないと相手に流れを持っていかれちゃったりするので、そこが改善点かなと思います」と、後半の決定機逸を反省していた。

昨年は1年生ながら序盤からレギュラーボランチの座を掴んだ中で夏場に調子を崩すと、その後は小川優介、柴圭汰の牙城を崩すことができず。昌平が初のベスト8入りを果たした選手権でもベンチ入りはしたものの、井野に出番はなく、大会後は悔しそうな表情を浮かべていた。

「自分が調子を落としたのもあるんですけど、やっぱりみんなに置いていかれた部分もあったし、そこでついて行けなかったことがとても悔しかった。(選手権)予選の時も出してもらったんですけど、そこで良いプレーもできなかったので、本当に悔しい想いでいっぱいでした」。

本大会では同じく1年生のMF篠田大輝が國學院久我山戦で決勝ゴールを挙げて注目を浴びた。自分もあの場所に立っていたかもしれない。その悔しさはあったようで「やっぱり篠田が点を決めた時とかは本当に悔しくて、自分は何をやっているんだろうと思ったりもした」という。

そういった中で「今年はもっと気持ちを入れ替えてやろう」と挑んだ新シーズンに転機が訪れる。「トレーニングレベルからずっと悪くはなかった中で、やっぱり小川優介とか柴とかのあのボランチにどう食い込むかというところだったら、違うポジションでも出していっても面白いなと思っていた」と藤島崇之監督。これを好機と捉え、サイドハーフへの挑戦を決意する。

「やっぱり運ぶドリブルが自分の持ち味。そこで時間を作って味方に前に上がってもらったり、そこから自分で仕掛けたりするのが得意かなと思います」と語るドリブルはサイドでも発揮。また「サイドになってから点にこだわって、どんどん前に仕掛けるようになりました」という積極姿勢が2得点に繋がった。まだ取り組み始めたばかりということもあり、「簡単な落としのプレーとかでミスが多かった。そこを直していかないと相手がどんどん強くなっていったら通用しない」とポストの部分は課題に挙げたが、指揮官も「良さは出ていた」と評価した。

「今年はしっかりスタメンに定着して、選手権やインターハイでチームが日本一になれるように頑張っていきたいと思います」と井野。新チームでは13番を背負うが、ジョーカーにするには惜しい選手。今年はしっかりとレギュラーポジションをその手に掴み取って、結果を残す。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和元年度埼玉新人戦(新人選手権大会)
令和元年度埼玉新人戦(新人選手権大会)