京都共栄vs久御山 (写真=雨堤俊祐)
後半になると京都共栄が流れを引き寄せる。「前半は中盤のプレスが遅れていたけど、後半はプレスをかけてボールを奪えた」とMFガブリエル(1年)が振り返ったようにボールへのプレッシャーが強まり、奪ってからの速攻でフィニッシュまで持ち込む場面が増えていく。56分にはカウンターからガブリエルが自ら持ち込んで強烈なシュートを放ったが、惜しくも枠を捉えない。すると久御山は選手交代を機に、CBだった久保奏人(2年)を中盤に上げた。この采配が功を奏する。久保奏が得意のドリブルで攻撃に勢いを与えると、後半終盤は敵陣深くで攻め続ける展開へ持ち込んだ。だが、相手の堅守を崩すことができない。延長後半には交代出場したMF磯尚瑠輝(2年)が相手の背後を付き、DFと競り合いながら放ったシュートがゴールネットを揺らしたが、主審がファールと判定して得点が認められなかった。
PK戦は互いに1人ずつが失敗して、サドンデスに突入。最後は8人目で後攻の久御山が決めることができず、京都共栄の勝ち上がりが決まった。
惜しくも敗れた久御山だが「キミは君らしく」のスローガンの下、一昨年で定年退職を迎えた松本悟・前監督が長年築いてきたスタイルの片鱗は見せた。後を受け継いだ大溝雄太監督にとって2年目となる今季は、本格的な久御山スタイルの導入に着手している。昨年は他校から4月に異動してきたこともあり、それまでの流れや選手を良く知るコーチ陣の意見も踏まえたチーム作りだったが、今年は同校OBでもある大溝監督が「上手さのところで、もっとやって欲しい」とパスとドリブルを融合させたサッカーを掲げている。
キャプテンのDF加藤史也(2年)も「去年はカウンターですぐに前へ蹴ることが少なくなかった。今年はパスサッカーで相手をいなす攻撃。僕としても好きなスタイルです」と話している。ただ、「相手の体力が落ちてきた後半途中からやりたいサッカーができたが、前半がいつもよくない」(加藤)と完成度はまだまだ。魅力的なサッカーで勝つ、その志を実現するためのシーズンは始まったばかりだ。
▽令和元年度京都新人戦(新人選手権大会)
令和元年度京都新人戦(新人選手権大会)