矢板中央vs尚志 (写真=松尾祐希)

 自主練習では様々な形からシュートを打ち込み、ゴール前のバリエーションを増やしながら精度を高める練習に没頭。また、課題だったフィジカルの強化にも時間を費やしたという。特に臀部の筋肉を鍛え、瞬発力や身体を入れても競り負けない身体を手に入れた。

 この日の出来に本人も手応えを感じている。

「武器であるスピードを生かして、キープもできる選手になりたかった。コーチから臀部を鍛えたほうがいいと言われていて、下半身がしっかりしてくると、ボールが収めやすい。アーリーヒットされた時に今までよりも身体がブレなくなりました」

 昨年度の高校サッカー選手権では2年生ながらレギュラーとして活躍。準々決勝の四日市中央工高戦では2得点を挙げ、一気に名を挙げた。新チームではエースとして10番を背負ったが、2月の県新人戦準決勝・栃木高戦では体調不良で欠場。チームもPK戦で敗れ、県内の連勝は42で止まってしまった。

 大舞台で自信を深めた一方で、今年はエースとしての仕事を果たせていない。5ヶ月前の悔しさは多田の中に今でもあり、再開後は誰よりもチームを牽引する覚悟で準備を進めてきた。その成果を再開初戦の試合で示し、最高の形で再出発できたのは間違いない。

 県新人戦でベスト4敗退に終わったチームにとって、エースの活躍はプラスの材料。8月下旬のプリンスリーグ関東を目指し、矢板中央は一歩ずつ準備を進めていく。

(文・写真=松尾祐希)