一気にゲームをひっくり返した神村学園が初戦突破

神村学園イレブン(写真提供=オフィシャルサポート)

 4年連続の出場となる鹿児島の雄・神村学園と16年ぶりに選手権の舞台に帰ってきた群馬の古豪・前橋商が激突した一戦は終盤まで目の離せない熱戦となった。

 “ゼブラ軍団”の異名の如く白と黒の縦じまのユニフォームを身にまとった前橋商業が立ち上がりから積極的な姿勢を見せた。まだゲーム展開が落ち着かずどちらがペースを掴むかはっきりとしないまま迎えた3分にスコアが動く。左サイドでスローインを得ると山口涼太がゴール前にロングスローを入れる。これを2トップの一角を務めた仲宗根純が頭で合わせると、弧を描くようにゴール方向へと飛んでいったボールがそのままゴール上隅に吸い込まれ幸先良く先制ゴールを奪った。

 しかし、1年生コンビの福田師王と大迫塁などタレントを揃える神村学園はいきなり失点を許す展開にも下を向くことなく慌てる素振りを見せない。左利きのCB稲田翔真と主将でチームの心臓を担う永吉飛翔を中心に丁寧にボールをつなぎながら攻撃の糸口を探る。前半こそ前線から追うことなく自陣でブロックを作って固めてくる相手を前にパステンポが上がらずフィニッシュまで持ち込む回数は少なかったが、ハーフタイムを挟んで「サイドチェンジとドリブルを増やした」(有村圭一郎監督)ことでゴール前へと迫るシーンを増やす。それでも集中を切らさず1点を守る前橋商業の守備を崩し切れず「ゼロで終わりそうな雰囲気」(有村監督)が漂い始めたが、ついに69分、神村学園に歓喜の瞬間が訪れる。

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▽第99回全国高校サッカー選手権
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