京都橘イレブン(写真提供=オフィシャルサポート)
互いが特徴を発揮しようとする中、徐々に昌平がペースを握っていく。相手のロングボールはDF生島翼(3年)とDF唐木晃(3年)を中心に最終ラインが跳ね返し、そのセカンドボールも回収することで、攻撃陣に多くのプレー機会を提供した。そして前半20分、左サイドのスローインからパスをつないで中央突破を図ると、相手DFの背後を突いたMF平原隆暉(2年)が相手DFのスライディングを受けて倒れこみながら放ったシュートがネットを揺らすが、主審はゴールを認めるのではなくPKの判定を下す。平原にとっては幻のゴールとなったが、このPKをFW小見洋太(3年)が細かくステップを刻む独特の助走から決めて先制点を奪った。
さらに24分には追加点が生まれる。ボランチのMF小川優介(3年)のロングフィードから、小見が相手のマークを外して裏へ抜け出してPA中央へパスを送ると、走りこんだ平原が押し込んで、今度は正真正銘のゴールを決めてみせた。藤島崇之監督が「前半は自分たちのやりたいサッカー、練習で取り組んできたことができて、得点もできた。相手を見るベースがあり、相手の嫌がる状況や自分たちらしさを出していこう、という部分では1回戦よりも良かった」と評価したように主導権を渡さない昌平は、27分にも小見が裏へ抜け出してGKもかわしてシュートを放つが、これはサイドネットの外。36分には須藤がワンツーからシュートまで持ち込むなど、あわや3点目という雰囲気を作りながらハーフタイムを迎える。
2点差を追いかける京都橘・米澤一成監督は後半開始から動く。金沢をCBからFWへ上げて、西野と木原をシャドーとする3-4-2-1へシステム変更した。自陣からビルドアップできず自慢の2トップへボールが入らなかった前半を踏まえて、前線にターゲットを配置してロングボールを送り込み、シャドーにセカンドボールを拾わせて攻撃に移る。もしくは西野が引いてボールを受けることで起点を作り、味方が攻めあがる時間を作ることが狙いだ。力技ではあったが一定の効果があり、防戦一方だった前半から、後半は敵陣に攻め込む回数が増加。ボールを失ったり回収できなくても、すぐに自陣へ撤退するのではなく、前からボールに圧力をかけようという姿勢が見られた。後半14分に後方からのボールを受けた金沢がシュートまで持ち込み、17分にはCKの二次攻撃からDF山内琳太郎がミドルシュート。31分にもロングスローから杉本とDF小山凌が連続シュートを放つ。「このままでは終われない!」という意気込みがプレーにも反映されていた。
▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権