だが、昌平も守備で集中力を切らさず、パスやクロスやシュートに持ち込まれそうな場面でも相手をしっかりマーク。「今年のチームの立ち上げから、攻守一体を常に意識してきた。攻撃のクォリティーは求めているが、その中で守備への切り替えや距離感も意識しながらやれるのか。今日もボールを奪えることが、攻撃の積極的な姿勢につながった」(藤島監督)という理念を実践し、京都橘の強力2トップに対しても「DFラインが(相手を)視野に入れて、パスの配給元への対応も意識的にやろうと話しました」とすることで後半も失点を許さずに、2-0の完封勝利で3回戦進出を決めた。
敗れた京都橘の米澤監督は「中盤の構成力に差があった。完成度も相手が高かった」と振り返る。苦しい試合展開になるのは承知の上。その中で、いかに攻撃を仕掛けるのかが昌平戦のテーマだった。「本当は(ビルドアップから)中盤でボールを受けたかったけれど、相手はサイドハーフも中に入ってきたりと中央に人が多く、うちのボランチは数的不利を感じていたと思う」。
一方で指揮官からは「夏から、少しは差を縮めることはできたかな」という言葉も聞かれた。夏に昌平と対戦した際に0‐3で敗れているが「内容はそれ以上。GKが1対1のピンチを防いだりして、なんとか3失点ですんだ。前後半を通じて、スコア以上の完敗でした」。今回も前半はやられっぱなしだったが、後半は準備してきたオプションで持ち直し、選手からも勇気を持って挑んだことで「悔いはない」という言葉が聞かれた。そうした感触と、それでも得点を奪えなかった悔しさを共に受けて止めて、京都橘は大会から去る。
(文=雨堤俊祐)
▽第99回全国高校サッカー選手権
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