絶対王者がビハインドを跳ね返し、ベスト4進出

PK戦を制した東福岡イレブン(写真=松尾祐希)

 絶対王者がビハインドを跳ね返し、ベスト4進出を決めた。

 5月30日、インターハイの福岡県予選準々決勝が行われ、8大会連続でインターハイに出場している東福岡が筑紫台と対戦した。相手の堅守に苦戦し、1-1で迎えた延長前半に2点を奪われてしまう。それでも延長後半に追い付くと、PK戦で辛くも勝利を手にした。

 この日の東福岡は序盤から攻守が噛み合わない。ボールを支配するものの、ゴール前になかなか侵入できない。前線の動き出しも少なく、出し所を探しているうちに中途半端な位置でボールをロスト。「リスク管理ができておらず、1対1の強さや弾き返す強さもなかった。カウンターになる前に防ぐべきだった」とMF向井貴都(3年)が振り返った通り、攻撃時は3バックでボールを動かした影響で相手のカウンターから度々ピンチを招いた。すると、前半33分だ。GK須田純弥(2年)がエリア外のボールをヘディングでクリアしたが、こぼれ球を拾われてMF木本真翔(3年)にゴールを許してしまう。

 0-1で迎えた後半は前にボールを運べるようになり、左サイドハーフのMF大渕来珠(3年)を軸に決定機を作る回数が増えていく。すると、後半6分にCB前田稜太(3年)のロングスローから決定機を作り、最後は林和喜(3年)が押し込んで同点に追い付いた。

 早い段階で追い付いた東福岡はさらに攻撃のギアを上げる。後半開始から投入された1トップのFW楢崎海碧(3年)が相手の背後でボールを受け、そこから2列目の選手が積極的に仕掛けていく。しかし、最後の局面で崩し切れない。相手に身体を投げ出され、良い形でシュートを打たせてもらえなかった。すると、時間の経過とともに再び守備陣が脆さを見せ、カウンターからピンチを招くシーンが増加。69分にはCKの流れからMF福田勇誠(3年)にバー直撃のシュートを放たれるなど、肝を冷やす場面は一度や二度ではなかった。

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PK戦にまでもつれ込んだ熱戦(写真=松尾祐希)

 試合は70分で決着が付かず、延長戦に突入。立ち上がりから攻勢を仕掛けた東福岡だったが、5分に失点してしまう。FW八尋裕輔(3年)のラストパスに反応したFW石川秋真(2年)が裏に抜け出し、角度のない位置から右足でネットを揺らされた。

 攻めるしかなくなった東福岡は前に圧力をかけていく。しかし、攻撃に意識を傾けすぎた隙を突かれ、10分には自分たちのミスから八尋に3点目を奪われた。

 残された時間は10分強。1-3となり、誰もが敗戦を覚悟した。しかし、東福岡はここから怒涛の反撃を見せる。直後の前半アディショナルタイムに大渕が角度のない場所から左足で直接FKを決める。ビハインドを縮めて勢いが出てきた東福岡は後半に入ってもなりふり構わず、ロングボールも使いながら相手ゴールに迫っていく。最終盤には186cmの右SB江本千泰(2年)と延長後半から投入された187cmのMF椋野魁斗(3年)を前線に配置し、パワープレーで局面の打開を試みた。すると、アディショナルタイムだ。前田のロングスローから椋野が頭で値千金の同点弾。土壇場で同点に追い付き、PK戦に持ち込んだ。

 そして迎えたPK戦。東福岡のキッカーが全員成功した中で、主役になったのがU-17日本代表のGK須田だ。3本目と4本目でコースを読んで、鮮やかなシュートストップを披露。「試合中のミスがあったので、リカバリーできて良かった」と安堵の表情を浮かべた守護神の活躍で、東福岡が辛くもベスト4進出を決めた。

(文・写真=松尾祐希)

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令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)福岡予選