川口市立はDF木村哉太のヘディング弾で勝利も立ち上がりやフィニッシュに課題を残す

岩槻 vs 川口市立(写真=石黒登)

 立ち上がりはややバタついた感のあった川口市立だが、前半15分に左コーナーキックを獲得すると「特に試合前は攻撃も守備もセットプレーの練習をしている。キッカーの相川くんと試合前、ゴールに近いボールを蹴るようにコミュニケーションを取っていた」とDF木村哉太。MF相川輝から作戦通りのクロスがファーに上がると、これを木村がヘディングで突き刺して先制した。

 後半は10番MF山岸快主将のドリブル突破や、チームとして狙いを持っているコンパクトな陣形を保ちつつ三角形を作りながら、相手を見て、人とボールが動くサッカーを展開している時間もあったが、追加点を奪うことはできず。岩井厚裕監督は「最後のフィニッシュのところで冷静になれない。全体的にボールを繋ぎながら前進していくような推進力がない。前を向いて行けるのに行けなかったり、どうしても相手がプレッシャーが早いとなかなかそこで前に行けない。行くチャンスはあるのにそういうチャンスを逃してしまうというのがこれからの課題だと思います。そこにはひとりひとりの個人のレベルアップが不可欠」と今後のチームの課題を語った。

 川口市立は県陽、市立川口、川口総合の3校が統合する形で2018年に開校。初年度にいきなりインターハイ予選で県16強入りを果たすと、翌年の選手権予選でもベスト32の成績を残した。昨年からは地元川口出身で帝京高で選手権優勝、その後は横浜フリューゲルスやアビスパ福岡でも活躍し、引退後は中体連で指揮を執った岩井監督が就任。S級ライセンスを持つ同監督に加え今季は川口青陵高を県内上位に押し上げ、こちらもA級ジェネラルを持つ山田純輝氏がコーチとして赴任した。さらに8月には人工芝のグラウンドも完成予定と今後が楽しみなチームだ。

 昨年はブロック予選で敗れ、県大会に出場できなかっただけに「まずは県大会に行くこと」(山岸主将)が目標。その上で成長を重ねて、憧れの先輩たちが残した記録にチャレンジする。

岩槻 vs 川口市立(写真=石黒登)

1回戦敗退も岩槻が見せた称賛されるべき姿勢

 岩槻は序盤から球際でファイトし、奪ったボールを縦につけて川口市立を苦しめた。後方ではDF吉野颯太主将が気持ちのこもった守備。後半にはMF廣田光輝が決定的なシュートを放ったが、相手キーパーの好守に阻まれるなど、ネットを揺らすことができずに1回戦敗退となった。

 それでも試合後、岩槻が見せた姿勢は見事だった。第1試合終了後、すぐに第2試合のグラウンド整備が始まった中でここに加わったのが、今しがた試合を終えたばかりのレギュラー組を含めた岩槻の選手たちだった。高体連サッカー専門部委員長も務めた柴崎康之先生(いずみ高)は「本当に涙が出た。彼らを誇りに思う」と称えていた。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和3年度関東高校サッカー大会埼玉予選
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