3年ぶり全国目指す桐光学園が決勝へ、鈴木監督「2年分の思いも背負って戦う」

試合終了直後、喜ぶ桐光学園イレブン。中央は、主将の山市(6番の向こう側)

 第100回全国高校サッカー選手権神奈川予選は、6日に準決勝を行い、第1試合は桐光学園が1-0で東海大相模を破って決勝進出を果たした。桐光学園は、7年連続の決勝進出で、3年ぶりの全国出場を狙う。2年連続で決勝戦敗退の悔しさを味わっているだけに、鈴木勝大監督は「昨年、一昨年とファイナルで負けている。ここに対して強い思いがある。2年分の思いを背負って戦いたい」と1週間後の13日に控える決勝戦にかける意気込みを示した。

 試合は、互いに手堅いプレーが多く、なかなかチャンスを作れない展開で進んだ。桐光学園は、ロングパスに俊足FW粟江晟(3年)が抜け出しを図る形で敵陣に押し込み、両サイドのスローインで、ロングスローモーションで相手を下げさせておいてショートのスローインからキックでクロスを上げるなど工夫を見せて攻め込んだ。前半15分に左DF寺内倖大(3年)のロングスローをDF馬場拓己(3年)がバックヘッドでゴール前へ送り、右DF米山悠葵(3年)が頭で合わせてゴールネットを揺らしたように見えたが、相手GKがキャッチした後の接触プレーでファウルの判定となり、ゴールは認められなかった。一方の東海大相模は、夏のインターハイで神奈川を制して全国大会に出場した実力を誇るが、MF品田希望(3年)ら主力数名が負傷離脱中。本来はDFの内藤天志(3年)をFWに起用する苦しい台所事情の中、それでも積極的なプレッシングで桐光学園に対抗。前半16分、MF小西璃空(3年)が相手ボランチのコントロールミスを見逃さずにボールを奪うと、左へ流して内藤がシュート。ショートカウンターで反撃を狙った。また、相手のロングパス攻撃に対しては、U-16日本代表候補のDF根岸優汰(1年)らがエアバトルを制して跳ね返した。

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 やや桐光学園が優勢に見えた前半だが、シュート数は両チーム合わせて3本。東海大相模の有馬信二監督が「非常に重いゲーム。互いに打開できない展開。(勝負のカギは)セットプレーかなと考えていた」と話したとおり、後半も桐光学園が押し込み、東海大相模が守備からカウンターを狙う展開が続いた。先に動いたのは、東海大相模。後半17分に選手交代で4-4-2から4-3-3へ変更。ボランチを2人から1人に変えて、サイドからの押し込みを狙った。しかし、桐光学園は、この日の午前に大学受験があってベンチスタートとなっていたU-17日本代表候補経験者の主将MF山市秀翔(3年)を投入して中盤の守備を強化し、抑え込んだ。互いに譲らない展開の中、勝敗を分けたのは、セットプレーだった。桐光学園は後半36分、寺内が左足で蹴った右CKを、ニアサイドでFW田中英泰(3年)が頭で合わせてゴール。試合終了間際、東海大相模がFW三上瑞季(3年)のロングスローからゴール前でシュートを連発したが、桐光学園はサックスブルーの壁となってことごとくブロック。ゴールを守り切ったところでタイムアップを迎え、桐光学園がしぶとく勝ち上がった。

 昨年から主力としてチームをけん引している主将の山市は「まだ神奈川県(代表として)の出場権を獲得したわけではないので、慢心することなく決勝に向けて良い準備をしたい。3年連続、神奈川を取れないということはないと思っている。3年生は最後の大会、しかも節目の100回大会。しっかり神奈川県(代表の座)を獲得して、全国優勝する」と次戦を見据えた。13日の決勝戦では、夏のインターハイ県予選2位で全国大会に出場した相洋高校と対戦する。インターハイ予選の準々決勝で相洋に敗れた桐光学園にとっては、雪辱戦。今夏の悔しさ、そして2年連続決勝敗退の悔しさを晴らす一戦に挑む。

(文・写真=平野貴也)

▽第100回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第100回全国高校サッカー選手権神奈川予選