「ここ一番で見せた「ベストゲーム」。川越西は良い守備からの良い攻撃で、4年ぶりの県大会へ

 勝てば2次予選という大一番。強豪であっても自分たちの実力を100%出し切るのは難しいが、川越西は西田陽祐監督も「ベストゲーム」と語る内容で実に4年ぶりの県大会出場を掴んだ。

 「いままでのゲームで守備は一番良かった」(監督)。「予測と危機察知力」が持ち味のDF藤井隆斗(3年)はラインコントロールをしつつ、味方が競ったこぼれ珠やサイドバックが抜かれた時はきっちりとカバーリング。その藤井とCBでコンビを組むDF関勇輝(3年)は中学校まで野球部だったという異色の経歴だが、「最初から最後まで集中力を切らさず、1本1本丁寧に守備をずっとしていました」と高い集中力を持って相手のロングボールを弾き返す。そしてそこで落ちたセカンドについても中盤がきっちりとスペースを埋めてボールを回収し、攻撃に繋げた。

 すると前半40分、10番のMF大槻龍太(3年)がディフェンスとキーパーの間に絶妙な裏へのロングパスを供給。これに「絶対に来るだろうなと」信じて走り出したFW宮本瑛矢(3年)はディフェンスに前に入られながらも足を伸ばし、ループ気味に流し込んで試合の均衡を破る。さらに川越西は後半10分、今度は宮本が展開すると、エース大槻が左足で決めてリードを広げた。

 中盤以降は2点を追う大宮北が攻勢に出る。25分には縦パスに抜け出したDF川井賢士(3年)が身体ごとプッシュし、途中出場のMF小林朋嵩(2年)が右足で流し込んで1点差と迫る。

 それでも川越西はここで崩れることなく、もう一度集中。「これまでは気持ちの面でムラや課題があるチームだった。それを夏休みずっと言い続けて、やっとそこが形になった」と指揮官が精神面の向上を挙げるように、最後まで声を絶やさず、最少失点で凌ぎきり歓喜の瞬間を迎えた。

 「本当に選手はよく頑張ってくれた。ベストゲームだったと思います」。攻守、そして精神面、ここ一番で最高の内容を見せた川越西が2017年以来となる2次トーナメント進出を決めた。

エース大槻龍太の決勝点に指揮官も「大したもの」。内外でチームを牽引する川越西の大黒柱

 大一番で1ゴール1アシスト。プレー内外でチームを牽引するエースがこの日も違いを見せた。

 川越西MF大槻龍太(3年)は後半10分、「宮本(瑛矢)から逆サイドに展開という形が多かったので来るなと思った。受けた時に中に2人いたんですけど、ここは自分で打とうと思った」と左足を振り抜いてネットを揺らし、チームの2点目をゲット。これが結果的に決勝点となった。

 実は大槻はこの前に足首を負傷し一度外へ。交代するかどうかギリギリという状況の中で「もう出し切ろうと思って」ピッチに復帰。ゴールはそのファーストプレーで生まれたものだった。これには指揮官も「大したものですよね。よくやってくれた」と賞賛。また、得意とする「相手の頭ギリギリを超えるパス」で前半の宮本の先制弾をアシストするなど、この日は全得点に絡んだ。

 プレーでもチームを引っ張るが、今年はキャプテンとしてピッチ外でもリード。活動制限もある中で「メリハリがつかない部分があって、自分が少し強く言ったりしなければいけないところを言ったりしてやらないと、このままダメになってしまうと思った」と時に嫌われ役も引き受けながら「川越西高校ならではのきちっというだけではなくて、みんなが楽しんでサッカーができるように、みんなで盛り上げてやってきた」。そのチームの雰囲気の良さも最後の粘りに繋がった。

 高校生活最初で最後となる県大会に向けては「自分たちの強みである楽しむということ、しっかり頑張るというところを生かして、強豪校に向けて頑張っていきたい」と意気込み。その中で「点を取って後ろの選手が少しでも楽になるように、積極的に声を出してみんなのモチベーションを上げていくということを意識してやりたい」と得点で、姿勢でチームを牽引し勝利を目指す。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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