スタメンのうち9人が神戸U-18所属の兵庫県が滋賀県に2-1で勝利

兵庫県・少年男子(写真=森田将義)

 第76回国民体育大会サッカー競技 近畿ブロック大会は、6日に1回戦を実施。滋賀県・少年男子と兵庫県・少年男子の前後半に1点ずつ奪った兵庫県が勝利した。

 序盤から主導権を握ったのは、兵庫県だった。スタメンのうち9人が神戸U-18に所属する選手で、唯一の中学3年生であるMF今富輝也(神戸U-15)も、この夏から神戸U-18で活動しているため、プレーの呼吸はバッチリ。DF井上恋太朗(神戸U-18)、MF次橋大地(神戸U-18)らがテンポよくボールを動かし、自陣から前進していくと相手エリアでは、「左サイドでもFWより点を獲ることを目標にしている」と話すFW高山駿斗(神戸U-18)が積極的に中へと仕掛けた。

 神戸中心のチーム構成によるメリットは、パス回しだけでない。「セットプレーやロングスローはヴィッセルでやっていることをそのまま国体でもやっているので、やりやすい」(高山)のも、大きなメリットだ。実際、前半17分に生まれた先制点はセットプレーから。FW有末翔太(神戸U-18)が左CKをゴール前に入れると、井上がシュート。PA内にこぼれたボールを、「恋太朗がシュート打った瞬間にこぼれてくると思い、走り込んだ」高山が押し込み、均衡を崩した。

滋賀県・少年男子 vs 兵庫県・少年男子

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 幸先よく先制したものの、以降はボールを動かして主導権を握るものの追加点が奪えない。キャプテンマークを巻いたDF井上恋太朗(神戸U-18)は「もう一点獲れればというのは全員が分かっていたことなので、それが緊張になっていたのかもしれない」と振り返る。

 対する滋賀県は我慢強い守備から、MF今村樹(東山高)やMF濱瀬楽維(東山高)がチャンスを伺ったが、「相手がロングボールを蹴ってくるのは分かっていたのでセカンドを拾って、攻撃に繋げようと思っていた」(今富)神戸の対応に苦しみ、フィニッシュまで持ち込めない。後半に入ってからも0-1のまま試合が進む中、一矢報いたのは後半33分。相手エリアでFKを獲得すると、濱瀬が遠目から直接ゴールネットを揺らし、試合を振り出しに戻した。

 失点に繋がるFKを与えた井上は、「やらかした。この角度と距離は決められる。俺のせいで負けると思った」。だが、チームメイトからの「切り替えろ」との声を耳にし、悪い雰囲気を引きずらない。失点直後の35分には右サイドの高い位置でスローインを獲得すると、「これまでラインを上げるために投げてきたけど、クロスとしては初めて投げた」という井上のロングスローがゴール前に入った。相手DFに跳ね返されたが、素早く反応したのは今富。「こぼれ球を狙っていた。難しい浮き球だったけど、しっかりミートすることだけ考えた」とダイレクトで合わせた一撃がゴールに吸い込まれると、そのまま試合を終えて、勝利を物にした。

 7日の代表決定戦で当たるのは毎年、全国大会で優勝候補として挙げられる難敵・大阪府。井上は「前の選手が強力で、代表選手が多いチーム。そうした選手を止めながら、前の選手を倒して勝ちたい。活躍すれば代表に選ばれるかもしれないけど、自分のためにも頑張りたい」と意気込んだ。

(文・写真=森田将義)