道科学大高が新興勢力に苦戦 失えないプライドと失うものがない相手の勢い
道科学大イレブン(写真=有岡志信)
札幌市白旗山競技場で行われたFブロック代表決定戦は、道科学大高が4-2でクラーク記念国際を振り切った。北海道大会進出の常連校に対し、クラークは今大会が初出場。失うものがない相手に苦しみながらも、4年連続4度目の北海道大会進出を決めた。
今大会、札幌地区予選の新風を巻き起こしてきたクラークに対し、道科学大高が出鼻をくじかれた。清水隆行監督が「昨年に比べて弱いチーム」と話すように、クラークに先制点を許した。前半5分、スローインが起点となり、マークが甘くなったところにミドルシュートを決められた。その後も最終ラインをそろえてコンパクトな陣形を保つクラークに苦戦。道科学大高の序盤の動きは重たかった。
道科学大高のらしさが出たのは前半30分。中央からMF部田昂輝(3年)が20メートルのミドル弾を決めて同点。前半ロスタイムにFW菅澤凪瑠(3年)が奪ったPKを、MF部田が決めて2-1で折り返した。後半10分には右からのクロスに、FW京谷脩司(3年)が頭で押し込み3-1。だが、クラークの勢いは止まらず、30分に連係ミスから失点して1点差に詰められた。後半ロスタイムに途中出場のFW鈴木脩三(2年)が決めて4-2とし、クラークを振り切った。5月のインターハイ札幌支部予選は、0-1で札幌厚別に屈して2回戦敗退。その無念もあり、清水監督は「緊張して硬くなっていた」と振り返った。
道科学大 vs クラーク記念国際(写真=有岡志信)
北海道は現在、新型コロナウイルス感染拡大のため、8月27日~9月12日まで国の緊急事態宣言が発令中。190万都市の札幌市は、9月4日までの直近1週間の人口10万人当たりの新規陽性者数が57.2人。国が緊急事態宣言の目安とする25人を2倍以上も上回る。道科学大高の部員は道内で最多レベルの約120人。このため、20~25人の5組に分け、各組で接触しないよう個別に練習してきた。感染者が出て濃厚接触者と認定されても、別のユニットで大会に出られる措置を講じた。
札幌市で大所帯を抱えるチームは、常に感染リスクを抱えながらの活動になる。それでも、しっかり結果を出した。清水監督は「少しでも成長してベスト4を目指す」と北海道大会の過去最高の8強超えを目標に掲げた。
(文・写真=有岡志信)