主軸を欠く中、前半に挙げた1点を守り抜いた大津がルーテル学院を下し5連覇達成

決勝ゴールを決めた大津・稲田翼(写真=井芹 貴志)

 令和3年度熊本新人戦(新人選手権大会)の決勝戦は、第100回全国高校選手権大会で初の準優勝を果たした大津と、今大会3年ぶりのファイナル進出となったルーテル学院が対戦。シュート数で上回った大津が、僅差ながら無失点でルーテル学院の攻撃を抑えて大会5連覇を飾った。

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 大津は高さのある小林俊瑛碇明日麻田原瑠衣の全国選手権を経験した主力3人が高校選抜への参加で不在。一方のルーテル学院もチーム得点王である塘﨑銀太が累積警告による出場停止と、ともに主軸を欠いた布陣でスタート。立ち上がりから大津がボールを動かしながらペースを掴んでいくが、「もう少し前に人数をかけ、近い距離感で攻撃の形を作りたかったが、ボールの落ち着きどころを作れなかった」と山城朋大監督が振り返ったように、ルーテル学院の出足の早いアプローチと球際のタイトな守備対応もあって、アタッキングゾーンへ持ち込む前にボールを失う場面が目につく展開。

 対してルーテル学院は、出足の速さに加えて予測からのポジショニングも早く、奪ってからは早い切り替えのカウンターで応戦し、両サイド深い位置でポイントを作ってのクロスという形を見せる。お互いに決定機と言える場面は多くなかった前半だが、大津は33分、ドリブルで運んだFW山下基成からのスルーパスに抜け出した稲田翼が落ち着いて流し込み先制、1-0で折り返した。

 「前半は0-0、もしくは0-1というのはプラン通り」(小野秀二郎監督)と、後半も前半と同じフォーメーションでスタートしたルーテル学院だが、時間が進む中でシステムを変えながら、最終ラインで先発していたDF青島知輝を最前線へ出すなど、徐々に「重心を前に持っていった」(同監督)ことで徐々に流れを引き寄せていく。

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▽令和3年度熊本新人戦(新人選手権大会)
令和3年度熊本新人戦(新人選手権大会)