昌平、前半苦しむも逆転勝ちでプレミアプレーオフ出場権を獲得

プレミアプレーオフ出場権を獲得した昌平イレブン

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2022 関東1部は、11月20日に浦和駒場スタジアムなどで第16節の5試合が行われ、首位の昌平(埼玉)は浦和レッドダイヤモンズユース(埼玉)に2-1で逆転勝ちし、2試合を残して2位以内が確定。18チームで争われるプレミアリーグのプレーオフ(12月9、11日・エディオンスタジアム広島ほか)進出を決めた。

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 鹿島アントラーズユースと争う次節に勝つか、負けや引き分けの場合でも2位の帝京(東京)が引き分け以下なら初優勝が決まる。

 第101回全国高校選手権大会へ2年ぶり5度目の出場を果たした昌平は、11月13日の埼玉予選決勝と同じ顔触れが先発した。しかし前半は浦和ユースの速いパス回しと効果的なサイドアタック、局面での鋭い出足に大苦戦。持ち味の高いボール保持力をはじめ、軽やかさと豪快さを併せ持つドリブルと展開力のあるいつもの攻撃ができなかった。

 昌平らしいリズムは、いずれも44分に荒井悠汰と篠田翼の両MF(ともに3年)が左から好クロスを配給した場面くらいだった。

逆転勝ちした昌平

 藤島崇之監督は「プリンスリーグのスピードと強度になかなかなじめなかった」と本来の姿からかけ離れた前半を振り返る。10月22日から高校選手権予選を4試合戦い、クラブチームと90分の試合をこなすのは10月8日が最後だった。

 FC東京への来季加入が内定している荒井が「レッズはすべてにうまく、前半はスピードに慣れなくて苦しかった」と言えば、2年生の技巧派ボランチ長準喜も「高体連の試合に慣れていたこともあるが、レッズがうまくて押し込まれてしまいました」と同じ感想を述べている。

 前半、多くの時間帯で主導権を握った浦和ユースは、来季のトップチーム昇格が内定している主将のボランチ堀内陽太(3年)が、中列後方からテンポよくパスを散らし、阿部水帆と清水星竜(ともに2年)の両MFが外から敵陣に頻繁に進出し、チャンスを演出した。前半7分、阿部の右クロスからMF田上亜璃(3年)が惜しいヘディングシュート。FW照内利和(1年)の30分の強烈な一撃はポストに弾かれたが、照内は39分に田上のパスを預かって、パンチの利いたシュートをゴール右上に蹴り込んで先制点を挙げた。

 しかしハーフタイムを挟んで情勢は一変し、今度は昌平が攻勢に出た。前半途中から、篠田と高校選手権予選決勝で決勝点を決めたMF大谷湊斗(1年)のポジションを入れ替え、篠田が左MFに回っていた。

浦和レッドダイヤモンズユースイレブン

 後半4分、荒井が右から持ち込んで打ったシュートはGK吉澤匠真(1年)の好守に阻まれたが、これで得た右CKを荒井がファーポストへ直接決めて同点。1年生1トップ鄭志錫の6分のヘディングシュートは吉澤に弾き飛ばされ、19分の荒井の決定打もわずかにバーを越え、いい形を作りながら2点目を奪えないでいた。

 引き分けと思われた44分、大谷のパスを受けた長が豪快に蹴り込んで待望の決勝点を挙げ、逆転勝ちで2位以内を決めた。

 藤島監督は記者の質問に先行し、安どと喜びが交錯した表情で「良かったです」とプレミアリーグへのプレーオフ出場権獲得にひと安心し、「各選手が力を発揮して(劣勢の展開を)後半に修正できた」とイレブンを褒めた。その修正点を問われると「スピード感に慣れることやボールに先んじること、もっと前から守備をすることなどをハーフタイムに指示しました」と説明する。

 浦和ユースの堀内も「昌平は後半になったら守りのやり方がガラッと変わり、前からプレスを掛けてきた」と話している。

浦和レッドダイヤモンズユース vs 昌平

 試合の中で欠点を改善し、戦況を変えられるのも昌平の強みだ。ここまで11勝4分け1敗。唯一の敗戦が7月16日の東京ヴェルディユース(東京)戦だが、9月18日の2度目の対戦でも2点を先取されながら引き分けに持ち込んだ。決勝ゴールを決めた長は、「ハーフタイムにコンビを組む(土谷)飛雅と『後半はボランチで(勝負を)決めよう』って話したんです。試合の中で修正できるのが今年の長所です」とプレーと同じくてきぱきと答えた。

 この後、プリンスリーグを2試合戦うと、プレミアリーグのプレーオフを経ていよいよ全国高校選手権を迎える。藤島監督は抽選会を翌日に控え、「もちろん全部勝つことを視野に入れ、高校日本一を狙う」といつもの目標を口にし、荒井は「まずプリンスリーグで初優勝したいですね。可能性があるのはうちとどこですか?帝京だけ?頑張ります」と笑顔で締めくくった。

(文・写真=河野正)

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