聖和学園が”心揺さぶる逆転劇”で立正大淞南を下す!GK菅井一那が当たりに当たる
聖和学園はGK菅井一那の活躍でPK戦を制し、2回戦へ(写真=柏原敏)
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)の1回戦が7月24日に行われた。宮城県代表の聖和学園、県予選は大量得点試合も含む複数得点で全試合を勝ち上がってきた。島根県代表の立正大淞南、過去に3度のベスト4を果たしている強豪。
聖和学園はチームのエースナンバーとして引き継がれる14番を背負うMF藤田晴(3年)が勝利へ導けるかどうか。立正大淞南は持ち味の攻撃的スタイルを武器に、全体のバランスは主将のMF10肥塚秀斗(3年)がアンカー役として堅く締められるかどうか。
「ドンドン、ドンッ。ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、パンッ」。
太鼓と手拍子の独特なリズムで雰囲気を作り出す立正大淞南スタンド。その後押しを受けたかのように、勢いを持ってセンセーショナルな入りをした。
中盤は横長のダイヤモンドのような形状で4-4-2システムを作っていたが、守備時は中盤の4枚が大きくスライドし、2トップに追随しながら兎にも角にも前線から圧し倒した。だが、その力を逆に利用した聖和学園が開始早々の3分に先制する。FW13角野玲也(3年)が相手の背後に上手く抜け出し、DFやGKともつれあいながらもゴールネットを揺らした。
しかし、立正大淞南にブレはない。立ち上がり同様に激しいプレスで圧しながら、マイボールにすると低い位置のビルドアップではMF19ダ・シルバ・イゴル・ヤン(3年)とMF18野田叶(3年)が大きく左右に開きながら幅を取る。そして、序盤から存在感を放ち続けていたイゴル・ヤンが右サイドを強引にドリブル突破してクロスを上げると、クロス対応でオウンゴールを誘って直ぐさま同点。
そして、この日の会場を沸かせたのは両者の魅力的なセットプレーのバリエーション。
まずは立正大淞南。CKではペナルティエリア付近で手をつなぎながらグルグルと回転し、聖和学園にマークを絞らせない。そして、その動きはすべてブラフ。注目をさせておいて、本当の狙いはキッカー役の交代作戦。初めに立っていたキッカーが少しボールに触ってインプレーとし、キッカー役を交代させるように見せかけてドリブル突破を仕掛けた。この場面はボールがしっかり動いていなかったと判定されて失敗に終わったが、上手く行っていれば決定機を作れていただろう。
また、時間軸は後述の本線と前後するが、前半アディショナルタイムにはFKでもサインプレーで魅せた。3選手が中央に集まり、キッカー役になりそうな選手がバックステップを踏みながら転倒。すべてシナリオ。そこに注目を集めておきながら、残った2選手でパスを出して小さくポイントをずらしながらシュートを狙う戦略を用意してきていた。
さて、本線に戻る。
▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)