武蔵越生 vs 武南(写真=河野正)

 その後は武南のこぼれ球への出足の良さなどもあって、追加点の決定的なチャンスは迎えられなかったが、チームの特長でもある粘り強く忠実な守りを継続し、虎の子の1点を守り切った。

 井上精二監督の采配が二度的中した。今野は1-0で勝った前期のS1リーグでも、交代出場して得点を決めている。さらに前半21分、沼田とともに堅ろうを支えるCB須田櫂舟(3年)が左足首を負傷し、32分にベンチに下がった。指揮官は公式戦初出場となるCB杉田晃平(3年)を送り込んだのだが、これがまんまと成功。本来の攻撃力を発揮できなかったとはいえ、武南を無失点に封じ込む立役者のひとりになった。

 武南の櫻井が切れ味で勝負するタイプと見立てた井上監督は、「スピードがあり身体能力も高い杉田なら対応できると信じて起用しました」と確かな裏付けがあることを淡々とした口調で説明した。

 1点を追いかける武南は14分、松原がFKを直接狙い、枠を捕らえた強烈な一撃が右隅を襲ったが、県内屈指のGK関根拓郎(3年)に阻止された。武南は交代カードを1枚しか切らず、後半13分にMF村田啓吾(3年)を送り込んだだけ。けが人の影響からか、戦況を打開できる選手がベンチには不在だったようだ。

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▽第101回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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