都立調布南の主将MF渡辺智也は鋭い突破を何度も披露した(写真=多田哲平)

 その言葉に応じて、東京朝高の選手たちは後半に入ると攻勢を強める。右サイドのチョン・テナム、左サイドのMF14リュ・サンウ(2年)の鋭いクロスから都立調布南ゴールに襲い掛かる。また54分から出場のMF16チョン・チャンゴン(2年)はスピード豊かに相手DFの背後を突いた。

 しかし52分のチョン・ヘリョンのシュートは相手GK1平田大翔(2年)のファインセーブに阻まれ、60分のパク・ソラの左足シュートはわずかに枠の右に逸れる。63分のチョン・チャンゴンのシュートもポストを叩き、79分のパク・ソラの再びの鋭いミドルシュートも枠を捉えられなかった。

 都立調布南の固いブロックをついにこじ開けたのは、延長戦突入の気配が漂っていた80+2分。サイドチェンジで守備陣を揺さぶると、最後はMF13ク・ギョチャン(3年)のクロスからチョン・チャンゴンがヘディング弾を沈める。途中出場の2人が、値千金の先制ゴールで起用に応えてみせた。

 さらに80+4分には、左サイドからのパスを受けたチョン・テナムが鋭くゴール右隅からネットを揺らして勝利を確実なものとした。

 得点まで時間がかかったものの、見事に勝ち切った東京朝高。姜監督は「相手のキャプテンの7番は上手いし、10番と11番も迫力がある良い2トップでした。先に1点取られていたらどうなっていたか分からなかった。やられてもおかしくない場面が1、2個あったんですけど、それを凌ぎ切ったのが結果につながったと思います」と安堵した。

 敵将が称賛したように、格上を相手に堂々と渡り合った都立調布南の健闘も称賛に値するものだった。GK平田は度々ビッグセーブを見せ、左SBのDF2正木啓介(3年)と右SBのDF5小林篤生(3年)は1対1で強さを発揮。ボールを奪えば10番の丸山、FW11天野幸汰(3年)、MF7渡辺智也(3年)、MF14池田海斗(3年)が巧みなテクニックを駆使してゴールに迫った。1次予選の2回戦ではT3の東京成徳大高を下し、ブロック決勝ではT4の都立駒場を破ってきた好チームは、その結果が偶然ではないことを証明した。

(文・写真=多田哲平)

▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選