鋭い突破で左サイドを何度も切り裂いたFW古谷柊介(写真=多田哲平)

 そして日体大柏は後半もゲームを支配する。とりわけ古谷の突破力は見事で、左サイドから度々敵陣深くに切り込み、ビッグチャンスをいくつも演出していった。

 すると51分、その古谷のパスを中央で受けた寺村が強烈なミドルシュートを放つ。これがゴール右を打ち抜き、日体大柏に3点目をもたらした。

 また56分の追加点も古谷の突破からだった。左サイドを切り抜けた古谷からのクロスに、ゴール前に走り込んでいた平野が合わせて4点目。平野はこの日、両チーム最多の6本のシュートを放ち、2ゴールの活躍を見せた。

 85分には相手FW70津根優登(2年)に追加点を許したものの、選手を入れ替えながら、ゲームをコントロールしていた日体大柏の攻撃は、なおも止まらなかった。

 終了間際の90+1分に、途中出場のMF8佐藤伸哉(2年)がピッチ中央で相手のクリアを拾うと、アウトサイドにかけた絶妙ミドルを叩き込み、チームの5点目をゲットした。

 習志野も決して力がないわけではない。プレッシングは組織的かつ素早く、ボールを奪ってからのカウンターもスムーズで、選手のイメージが共有されている印象だ。先制点を決めた松村や、キレのあるドリブルを見せたMF11田代暖眞(3年)やMF中屋天吾(3年)の技術は確か。CBのDF95菅野瑚白(3年)は対人での粘り強さが光った。

 しかし、そんな習志野に対して、この日の日体大柏は多くの場面で1枚うわ手だった。プレスを上手く剥がしながら、生まれたスペースを活用して攻め立て、相手に主導権を握らせなかったのである。

 もっとも根引監督に、満足した様子はない。

 「5点入ったけど……という感じですね。もっと質や精度を上げなければいけない。ゲームの運び方もまだ拙い。代わったメンバーももっと役割を理解してプレーしてほしいなと。ボールの失い方も悪かったですし。そういうところをもう一度やっていかないといけないなと課題が見えた試合でした」

 それでも、この勝利で日体大柏は勝点を16に伸ばし、2位をキープした。

(文・写真=多田哲平)