埼玉平成もDF清水聖那を中心に粘り強く戦った(写真=多田哲平)

 武南がその勝負強さを発揮したのは延長後半だ。2分に左サイドを崩した流れから文元が押し込んで勝ち越すと、同4分には松原のクロスに飛び込んだMF27大豆生田光(3年)のゴールで加点。そのまま3-1で勝ち切った。

 前半こそ埼玉平成のペースに引き込まれたが、それを巧みに覆しての勝利だった。武南の内野慎一郎監督は選手の順応力を評価する。

 「前半は右サイドでボールを持たされていたから、選手を入れ替えたりスピードのあるやつを前にしたりして相手を混乱させた。そうすると段々と(松原)史季がいる左サイドにボールが集まっていった。そこまで考えていたかは分からないけど、どう対応するかを選手たちが考えて持っていった。それは彼らの順応する力だと思う」

 また内野監督は、第1代表として臨む関東大会について「本当に良い経験。埼玉県代表として一生懸命頑張るだけです。ただ、いろんな選手を使ったり、インターハイや選手権につなげたい」と意気込んだ。

 かたや埼玉平成も敗れたとはいえ、堂々たる戦いを披露。敵将の内野監督が「ドリブルもあって良いチーム。すごく考えられてるし、個性もあるし。やりづらかったですね」と語るほど、相手を苦しめた。ボールを持てばMF10大久保夢牙(3年)と佐藤を軸とした小気味良いパスワークで武南ゴールを目指した。守備ではDF22清水聖那(3年)とDF5落合楓(2年)が球際で身体を張り、GK12岡田大夢(2年)は度々ファインセーブを見せた。

(文・写真=多田哲平)

▽令和5年度関東高校サッカー大会埼玉予選
令和5年度関東高校サッカー大会埼玉予選