パンチングで弾き返す徳島市立GK1安藝誠一郎(3年)

 両校関係者を中心に400人以上の観衆が詰め掛け、メインスタンドもほぼ埋まる中、キックオフ直後は実力差通り、攻める徳島市立、守る徳島北の構図で始まることに。しかし、徳島北が6分に徳島市立の波状攻撃に対し身体を張って守ると、逆に16分にはショートカウンターからゴールまであと一歩のシーンを演出。

 このように試合が混沌としていく中で迎えた25分、試合を動かしたのは徳島北であった。右サイド深くからDF須崎が投げたロングスローに反応したのはボランチの勝野。迷いなく右足を一閃したボールはDFとGKの間を抜けてニアサイドに突き刺さる。徳島市立もすぐに同点を狙うが、クリアのたびにチームカラー緑のメガホンに染まったスタンドがいっそう沸き上がる雰囲気にも押され、得点は生まれず。前半は徳島北が1点リードで折り返す。

 ハーフタイムで河野博幸監督から「もっと自分たちで動きを入れてからボールを動かそう」とアドバイスをもらった徳島市立。それでも後半立ち上がりは最後の崩しが引っかかる展開が続いたが、後半17分にはカウンターに入ろうとした徳島北のボールを中盤で奪うと素早く左サイドに展開。津川がアーリー気味に上げたクロスボールに反応したのは……。前半からピッチを縦横無尽に走り回っていたキャプテン笠原であった。

 「最初はファーサイドで構えていたけど、フリーだったのでペナルティーエリアに入りながら撃った」ヘディングシュートは逆サイドネットにふわりと到着。徳島市立は苦しみながらようやく同点に追い付いた。

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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)徳島予選
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