埼玉栄を率いる滝井友和監督(写真=河野正)
この後リーグ戦を3試合戦うと、6月3日にはインターハイ予選が始まる。「試合ができる喜びと感謝の思いを抱きながら、全員でインターハイ予選を勝ち抜いていきたいです」と何度も“全員”という言葉を使い、チームが結束することを最優先に考えていた。
活動を再開するため、学校や保護者会、高体連や県サッカー協会などと何度も話し合い、たくさんの人からアドバイスを受けてこの日を迎えただけに、滝井監督も感慨深げだ。「ありがたいし、感謝の気持ちしかありません」と公式戦復帰と勝利を喜び、試合については「プレーの質も強度もまだまだですが、戦術ベースとしてやろうとしていることは、次につながるようなゲームができました」と振り返った。
自粛期間中は自立を促す狙いもあり、選手には自主トレのメニューなどは一切与えず、個々の判断に任せたそうだ。
合同練習が再開して3日後には、まず主将と副主将に練習メニューを考えてもらい、さらにトップチームの全選手に練習を主導してもらう工程が約2週間続いた。「指導者の立場になり、選手が様々な戦況や局面に応じてどうプレーするか、どう考えるかの力を養いたかった。指導スタッフがやらない内容もあり、私も勉強させられました」と滝井監督は頼もしげなイレブンに目をやった。
目指すサッカーはボールを保持し、主導権を握る戦いだ。指揮官は「日々の練習を大切にし、どうプレーしたら軽快にボールを動かして点を取れるかを追求していきたいです」と選手の自立を期待するとともに、戦術の上積みにも力を注ぐ意気込みを示した。
(文・写真=河野正)