羽黒は3連覇を逃す(写真=佐藤円)
60分頃、追う羽黒ベンチからは「もっと後ろ上げろ!」の声が響いたが、山形明正のロングボールやカウンターを受けるたびにもとの位置に戻されるもどかしい展開が続いた。33分にはFK、CK、ロングスローと立て続けにセットプレーの機会を得たが、それでもゴールをこじ開けることができなかった。すると羽黒はCBの主将・小西を前線に上げ、シンプルに前線に当て始めた。
この小西効果もあってか、ここからは羽黒が押し込む時間を作るが、山形明正の自陣ゴール前での守備はなおも堅さを維持していた。4分のアディショナルタイムに突入しても、羽黒の攻撃を山形明正は跳ね返し続けていたが、80分+3には山形明正がショートカウンターから石川隼太が抜け出してシュートを狙ったが、枠外へ。するとその直後、何度も跳ね返されてはゴール前にボールを送り続けていた羽黒は、ついに足元に収まったボールを三國谷がシュート。しかし、GK酒井にキャッチされた。
“格上とも言える相手に”早い時間での先制点で、山形明正・石原和実監督は「引いて守ることもちょっとよぎった」と言う。しかし、「当初のゲームプランを貫き通そう」と最後まで強気の姿勢を崩さなかったことも奏功した。創部38年でついに全国への扉を開けた山形明正は、山形県勢17年ぶりの初戦突破の期待も背負うことになるが、石原監督は「この大会も一戦一戦必死になって戦ってきました。何か大きな目標を言えればいいんでしょうけど、僕らはどんな相手でもチャレンジャーなので、目の前の1試合、まずは初戦をしっかり戦います」と決意を述べた。
(文・写真=佐藤円)
▽第102回全国高校サッカー選手権山形予選
第102回全国高校サッカー選手権山形予選