苦い経験は選手の薬にもなっており、この日も2点目を奪った瞬間に柴田は「2-0だから危ないぞ。米子北戦をお前ら思い出せ」と声をかけ、気を引き締めたという。GK1後藤洸太(3年)が「得意なシュートストップができたらと思っていたのですが、今日はDFラインが頑張って、シュートを全部抑えてくれた」と振り返った通り、チーム全体で集中力を保ち続けた結果、無失点で試合を進めると25分には右CKからDF4大坪聖央(3年)がゴールネットを揺らし、3-0で東福岡が勝利した。

 昨年はインターハイで全国の舞台に立ったものの、選手権は2年連続決勝で涙を飲んでいる。今年1月に行なわれた県の新人戦は福大若葉に敗れ、準決勝敗退。近年ずっと出場を続けてきたサニックスカップへの出場権も逃した。だからこそ、インターハイにかける想いはどのチームよりも強い。「東福岡のプライドはある。今年こそは赤い彗星を全国に轟かせたい。小さい子どもたちに憧れてもらえるような強い東福岡を取り戻したい」。そう意気込むのは柴田だ。目標にする全国大会というスタートラインにたどり着くため、負けるわけにはいかない戦いは続く。

(文・写真=森田将義)

▽令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)福岡予選
令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)福岡予選