当時の1戦で先制ヘッドを決めている鄭は、「県予選の難しさは1年生の頃から経験しているので、どんな相手に対しても積極的に仕掛けてゴールを取らないといけない。3年生になって意識が変わりました」とエースFWの貫禄が出てきた。

 西武文理戦では決勝点を含む2得点の活躍をした鄭は、「準決勝でも圧倒して勝てるよう立ち上がりから仕掛けていきます」と浦和学院戦へ意欲を示した。

 昨春、昌平のスペシャルコーチに就き、今年3月に指揮官に就任した元日本代表の玉田監督。プレミアリーグは8試合を経験済みだが、タイトルの懸かった県内トーナメント戦は今大会が初めてとなる。

 西武文理戦は前半8分にハンドの反則からPKを献上して先手を取られた。「少しも慌てることはなかったが、先制することがいかに大切かというきのうの試合が教訓になりました。対戦相手をリスペクトした上で、力の差を見せつけて隙を与えない内容を実行してくれた」と完勝に近い試合をやり遂げたイレブンを褒めた。

 1年前は準決勝で浦和南にPK戦で屈したが、玉田監督は「実力の違いを発揮して勝つのは簡単なことではないが、うちにはそれを簡単にするだけの力がある。自分たちがどれだけやれるかを表現してほしい」と人材の宝庫と言われるタレント集団の可能性を信じていた。           

       

(文・写真=河野正)

▽令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選