そして後半が始まると、神戸弘陵はキャプテンの木津が変化を見せる。「ロングボールでクリアしたり、忙しい展開になってきていたので、落ち着かせるのも大事だと思って」とゴールキックになると最終ラインの真ん中に下がり、ビルドアップの舵を取りだした。相手の2トップのプレスに対し、CB2枚と木津で数的優位を作りだした。

 結果的にこれが、後半開始から先制を狙ってゴールに迫りたい三田学園の勢いを削いだ。ここから落ち着いて相手を揺さぶりながら攻撃を展開した神戸弘陵が試合の均衡を破る。45分、右サイドからFW9白石蒼悟(2年)がクロスを入れると、下醉尾が「ニアで潰れようとしたらボールがニアに来たので、ほんまは一発で決めたかったんですが、イレギュラーで自分の体に当たって、足元に落ちた」ところから落ち着いて右足でゴール左に流し込んだ。

 「半分を過ぎた辺りにゴールを取れるかなと思っていました」と指揮官の思惑より早く先制に成功した神戸弘陵は、選手を入れ替えながらさらに攻める。すると51分、左サイドの裏でパスを受けた白石がドリブルで中に切り込んで右足を一閃。白石のカットインシュートは見事にゴール右のサイドネットに収まり、神戸弘陵に貴重な追加点がもたらされた。

 「県内を勝つのは簡単ではないんですが、3点取って勝つというのを目標に掲げているので」(谷監督)と、この決勝という舞台でも自分たちのスタイルを崩さない神戸弘陵は守りに入る素振りを見せない。60分には中盤でこぼれを拾ったMF6梅原良弥(2年)が自ら持ち運ぶと、右足で豪快なミドルをゴール左に突き刺した。

 目標通りに3得点を重ねた神戸弘陵は、アディショナルタイムにDFのクリアミスでオウンゴールを献上するも、そのまま3-1で勝利し、夏の兵庫県制覇を達成した。

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▽令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選
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