そんな飯塚の攻撃に東海大福岡は粘り強い守備で対抗する。目を引くのは、その運動量と集散の早さ。ボールホルダーをあっという間に2人、3人で囲い込むと強度の高い守備で飯塚に自由を許さない。ボールを持つのは飯塚。東海大福岡陣内でのプレーが続くが、それは飯塚の優位を示しているわけではない。激しく前から仕掛ける飯塚と、それを許さない東海大福岡のアグレッシブな守備が真正面からぶつかり合う展開が続いていく。

 そんな試合が動いたのは76分。CKからのこぼれ球に左足を振り抜いたのは飯塚の森本快(2年)。次の瞬間、ゴールネットが大きく揺れた。それでも東海大福岡は下を向かない。依然として、ともに局面で激しくぶつかり合う展開に変わりはない。そして延長戦突入かと思われたアディショナルタイムに劇的なゴールが東海大福岡に生まれる。飯塚陣内で得たスローインのチャンスに田中蒼大(2年)が送ったのはロングスロー。それが大きく跳ねて福田大翔(2年)の足下へ。迷うことなく右足を振り抜くとゴールネットが大きく揺れる。これが決勝点。東海大福岡が決勝進出を決めた。

 試合終了のホイッスルを聞いた瞬間、東海大福岡イレブンはピッチの上で喜びを爆発させた。今年は高校総体福岡県大会でも決勝進出を果たしており、12年ぶりの決勝戦進出は古豪復活を思わせるものでもある。そして、かつては雌雄を分け合った東福岡との決勝対決は15年ぶりになる。決戦は11月10日。福岡県高校サッカーファンなら見逃せない。

(文・写真=中倉一志)

▽第103回全国高校サッカー選手権福岡予選
第103回全国高校サッカー選手権福岡予選