8月4日のS1リーグ後期開幕戦からトップチームに昇格。背番号3が示す通り、本来はDFで8月からFWにコンバートされた。

 「練習通りにプレーできたと思いますが、掛谷と2トップを組むのは公式戦でも練習試合でも初めてなんです。ぶっつけ本番にしてはうまくいきました」とトーナメント戦での初得点が決勝ゴールだけに喜びもひとしおかと思ったが、「うれしさよりも安堵感のほうが大きい。目標は優勝なのでうちらしいサッカーで勝ち続けたい」と表情を引き締めた。

 浦和南はこのほかにも決定打が2本あったが、坂戸西のGK嵯峨野伶(3年)のビッグセーブに阻止された。9分に右MF芦川治奏(3年)が右から打った強シュート、追加タイムに掛谷が左から狙った一撃をいずれも鋭い反応でセーブした。

 守備で粘り強く対応していた坂戸西は9分、インサイドMFの山口夢人(2年)が絶好のタイミングで打ったが、DFの俊敏なブロックに弾かれてしまう。追加タイムにも惜しい場面があったが決められず、善戦もむなしく惜敗した。

 浦和南は昨年、新人大会の支部予選で早期敗退を喫し、関東高校大会予選の出場権を逃した。それでもインターハイ、全国高校選手権の両予選で準優勝。8月の和倉ユース大会で左膝を故障した掛谷は、この日が久しぶりのフル出場となった。「去年は決勝で2度も悔しい思いをしたので、これが最後の大会ですし絶対にファイナルまで進んで、昌平に借りを返したいですね」と意欲を示した。

 ベテラン野崎正治監督は、いつもと同じく勝っても難しい表情を崩さない。「緊張したのかパスはつながらないし、こぼれ球は拾えない。力がないんですよ」とこぼした。2トップにした理由については「サイドを崩そうという狙いはあったが、(クロスの)ターゲットがいなかったから」と説明した。

 そうは言ってもこの大会になると勝ち方を熟知した名将だけに、この言葉も額面通りには受け取れない。最後に「課題は多いけど上がっていくだけですよ」と締めくくった。

(文・写真=河野正)

▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選