試合の前半はまだ回復途上のピッチ状況を考慮してか、両チーム共にリスクを冒さないサッカーに終始した。その中で明徳義塾はサイドアタックから得たスローインでFW19池上のロングスローを活用しこぼれ球をMF坂元がシュートを放つか再び展開する戦い、岡豊は2トップのキープ力・突破力を活かす戦いを志向したが、両DFの身体を張ったプレーもあってゴールは割れず。前半はスコアレスで折り返した。

 ピッチ状況も劇的に改善した後半キックオフと同時に動いたのは明徳義塾・小松晃監督であった。MF11友永に替えFW30下元悠司(2年)を投入すると、システムも岡豊と同じく4-4-2に変更。個の優位性をもって敵を制する策に打って出る。果たして60分、交代策は吉と出た。明徳義塾はFW19池上が右サイドに下げるとMF9葛籠が再びゴール前に入れるアーリークロス。そしてこぼれ球を拾ったのは旧チームからエースナンバーを背負う10坂元。「後半立ち上がりはポジショニングで悩んだが、中央に近い位置を取るようにして修正できた」彼の左足シュートはついに岡豊ゴールを破り明徳義塾が先制。バックスタンド側には歓喜の輪が広がった。

 しかし、岡豊の気持ちは全く折れていなかった。直後の62分にはスローインを受けたFW10森田からパスを受けたFW11上田が力強く右サイドを突破しペナルティーエリア内へ侵入し50分から投入されていたMF13増田丈浩(2年)へラストパス。増田は冷静に逆サイドへシュートを流し込み同点ゴール。今度はバックスタンドコーナーフラッグ付近に歓喜の輪が広がった。その後も一進一退の攻防を繰り広げる両チーム、しかし明徳義塾は66分、やや疲労の色が見えた岡豊のスキを逃さなかった。直接FKのこぼれ球を左サイドに展開した緑のユニフォームは10坂元がゴール中央に入り込んだFW30下元にピンポイントクロス。下元の打点の高いヘディングシュートがネットを揺らし再び勝ち越しに成功する。

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▽第103回全国高校サッカー選手権高知予選
第103回全国高校サッカー選手権高知予選