後半に入ると矢板中央DFの穴を見出した日章学園FW14高岡がさらに動き出す。48分、左CKのこぼれ球を左ポストに当てるシュートを放つと、50分にはドリブルから7南の際どいシュートにつなげるパス。矢板中央も52分にFW11朴大温(3年)、FW18山下魅心(3年)を同時投入して流れを押し返そうとするが、一進一退の時間が長く続いた。

 が、60分。矢板中央は途中交代で入った2人が仕事を果たす。メインスタンド側でボールを受けたFW11朴が左サイドにいた18山下にパス。ペナルティーエリア左に18山下がドリブル突破する間にペナルティーエリア中央まで全力疾走した11朴は18山下の左足折り返しに「信じて入っていって」ファーサイドに逃げながら押し込む今大会初ゴール。まるで日章学園の同点ゴールをユニフォームを替えて再生したかのような矢板中央の勝ち越しゴールは、同時に試合を決める決勝ゴールとなった。

 かくして「攻撃力があって素晴らしいチーム」(矢板中央・高橋健二監督)日章学園の猛攻を最後は伝統の堅守で守り切った矢板中央は3回戦へと駒を進めることに。ただ、個々の高い攻撃力が光った日章学園の今大会での2試合は、大きなインパクトを残したことも事実。その急先鋒であり続けた背番号14・高岡伶颯は、高校サッカーから、イングランド・プレミアリーグに闘いの場を移す。

      

(文・写真=田原豊)

▽第103回全国高校サッカー選手権大会
第103回全国高校サッカー選手権大会