ヒーローは「守備の裏を狙うのが得意ですが、相手の守りが堅いので少し引いてパスをもらうことを考えました。練習では木原からいい縦パスが入っていたし、前日練習でもその形からシュートが決まった。苦しい試合だったので余計にうれしい。今大会では4強を目指したい」と声を弾ませた。

 芝は守備に労力を消費する時間が長くなり、なかなか効果的な攻めに移行できなかった。唯一の先制機、決定が6分にあった。カウンターから1トップの吉原芽吹(2年)が守備の背後に抜け出し、GKと1対1になって放った一打は、わずかにバーを越えていった。決まっていたら勝負の行方は分からなかった。

 「試合には運、不運が付いて回るものですね。リズムをつかんでいたうちは点を取れそうで取れませんでしたが、逆の見方をすれば芝のペースでもあったということ。油断しないためにも、選手にはそこをしっかり伝えました」とは蔵森監督の弁だ。まだ顧問のいない時代からサッカー部を指導し、監督歴と教員歴が35年目を迎えたベテランの言葉だけに重みがある。

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▽令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選
令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選