後半も川和はそのスタンスを変えない。46分、朝長が左から仕掛けて4点目。56分には混戦からのこぼれ球をDF2布施波瑠人が蹴り込み、アディショナルタイムにはMF7長谷川舜が右クロスに合わせて6-0。最後まで“守る”という選択肢は一度もなかった。

「リードして守りに入ったら、負けだと思ってる」

 キャプテンの小野が口にしたその言葉には、戦術ではなく強い信念が息づいている。押し切る力、譲らない姿勢。テンポを与える前に潰す。守備の意識は高く、それでも“前へ”という矢印だけは絶対に曲げなかった。

 2得点の朝長は「練習でずっとやってきた形だった」と笑顔を見せる。ゴール前に飛び込むタイミングも、味方の動きも、日々積み上げてきた信頼と準備の賜物だった。試合中には相手のビルドアップに応じて前からの守備の形を変え、無失点で抑えた対応力も光った。

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▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選