試合後に話を聞いてみると、中学は野球部のピッチャーで、サッカーは一緒に入学した友達に付いていくような形で始めたという。「野球はピッチャーが投げてから始まるスポーツ。グラウンドの上は、どこか孤独感があったんです。でもサッカーはみんなで攻めて、みんなで守る。野球も楽しかったけれど、サッカーはまた違う楽しさがありました。より全員で戦う感じがありますよね」と高校生活で打ち込んだ競技の魅力を説明する。

 入部当初は経験者の中に初心者が混ざっている状況で「パス練習で、僕だけボールを止められずに跳ねてしまっていた」と回りに付いていくのに一苦労だった。試合にも2年生までは交代出場ばかりで、3年生になってようやく先発する機会が増えたが、次第に下級生にその座を空け渡す機会が増えていった。それでもピッチに立てば全力プレーを発揮し続け、プレーと声でチームを盛り上げた。伊藤も「うちの誇るスーパーサブです。彼が入ると本当にピッチの空気が変わる」と笑顔で話している。おそらく高校生活最後の大会になるであろう総体予選は2回戦で敗退となったが、仲間たちと過ごした2年半はかけがえのない時間だった。

(文・写真=雨堤俊祐)

▽令和8年度全国高校サッカーインターハイ(総体)京都予選
令和8年度全国高校サッカーインターハイ(総体)京都予選