後半1分、CKから4番小野凌弥のヘディングはポストに嫌われ追加点ならず。早く1点を返したい東京朝鮮中高級学校は12分に右からのクロスに立て続けに2度3度とビックチャンスを迎えるがまたしてもGK北村海チディが立ちはだかる。それでも得点の雰囲気が漂い始めた20分についにネットを揺らす。9番ハン・ヨンギが左サイドのスペースでボール受け、切り返しから右足で中央へクロスボールを送る。後半途中から前線にポジションチェンジしていた4番チョン・ユギョンが相手の前に体を投げ出しダイビングヘッドでネットを揺らし1点差に詰め寄る。東京朝鮮中高級学校に反撃ムードが流れるが関東一も黙っていない。直後の24分に9番村井柊斗が中央のスペースにドリブルでボールを運びそのまま右足一閃。スーパーミドルがゴール左に突き刺さり東京朝鮮中高級学校を突き放す。

 これで試合が決まったかに思われたが、東京朝鮮中高級学校の反撃がここから始まる。両サイドからのクロスを徹底する東京朝鮮中高級学校は34分、右サイドのスローインからクロスをゴール前へ。フリーで待つ4番チョン・リュンギュンが頭で合わせて1点差に詰め寄る。更に37分に後方からのボールに4番チョン・リュンギュンがDFと並走しながらのループシュートで同点とする。

 会場が沸きこのまま東京朝鮮中高級学校が押し切る空気にも感じたが、延長に入って関東一が王者の貫禄を見せる。延長前半3分、小刻み良いドリブルで相手を苦しめていた7番小関陽星が相手陣地で仕掛ける。DFが何とか触ったボールは9番村井柊斗の足元へ。ダイレクトで放ったコントロールショットはゴール右決まる。エースの意地の今試合2得点目。トータル4-3で勝ち越す。東京朝鮮中高級学校は延長にあった2度のチャンスを生かすことができずここで万事休す。観てるものを熱狂させた好戦は王者関東一が屈指のチャレンジャー東京朝鮮中高級学校を破り、決勝の舞台に向かう。

( 文・佐々木竜太 写真・新井恵)