前橋育英の時間が続く中、得点は生まれず延長戦突入かと思われた後半ロスタイムについにスコアが動く。14番田部井涼からの浮き球のパスを22番榎本樹が頭で逸らす、PA内でボールに追いついた10番飯島陸がGKをかわしシュート。これは20番三本木達哉が1度はブロックするもボールは22番榎本樹の足元に転がり、ダイレクトで右足を振りぬくと、ボールはDFの股を抜けてそのままネットを揺らし、均衡を破る値千金の決勝ゴールが決まる。キックオフ直後から素早く攻め立てる流通経済大柏に残された時間はあまりにも短く、タイムアップの笛がなる。

 観るものに感動を与えた決勝戦にふさわしい好ゲームを闘った両チームに惜しみない拍手が鳴り響く。前橋育英は去年のリベンジを達成するとともに、幾度となく優勝候補に挙げられながらも手にすることが出来なかった冬の高校日本一の称号をついに手中に収めた。

(文・佐々木竜太 写真・金澤涼雅)