試合風景

 見事な晴天に恵まれ、関東大会Aブロック1回戦、「日大藤沢vs矢板中央」は両校大人数の応援団を引き連れ、5月30日に清瀬下宿のグラウンドにて10時に開始された。

 試合開始のピッチを見渡すと互いに長身で体付の良いDF陣とFW陣が両チームとも目立つ。特に日大藤沢のFW16番住吉ジェラニレショーン、矢板中央のFW18番森本ヒマンとDF3番星キョーワァンは強靭なフィジカルを想像させる。その特性を活かしてか、どちらもビルドアップの段階でリスクを感じた場合は、FWに向かって蹴る展開となった。

 前半10分、先に仕掛けたのは矢板中央、FW18番森本ヒマンのポストから始まり、MF7番坪川潤之のクロスがゴールに迫るが惜しくもゴールを割ることは出来ず。

 対する日大藤沢は前半15分、長いサイドチェンジのボールから、MF10番蛭田悠也が左サイドを鋭く抉りシュートを放つ。しかし、これはGK渡辺優三のセーブに合う。続いて18分、FW16番住吉ジェラニレショーンのキープから、MF7番仁科千優のシュート。これもGK渡辺優三に阻まれる。

 日大藤沢はFW16番住吉ジェラニレショーンの圧倒的なフィジカルでキープすれば、MF7番仁科千優が絶妙なタイミングでサポートに入る。そしてなんと言ってもMF10番蛭田悠也の切れ味の鋭い左サイドでのドリブルに矢板中央は手を焼くこととなる。

 一方、矢板中央はFW18番森本ヒマンの高さは前線の分かりやすい的となり、FW11番大畑亜輝の速さを生かした裏への抜け出し、それに加えてMF6番蓮沼雄也の体を張ったボール奪取からショートカウンターで相手に脅威を与えていた。

 両チーム「闘え」という言葉通り、球際で一歩も譲らない姿勢で、試合は激しさを増していく。前半23分、日大藤沢7番仁科千優のスルーパスを受けたMF10番蛭田悠也は左サイドからカットインでゴールに迫るもゴールにならず。続く26分、今度はMF10番蛭田悠也が中央でドリブルからMF11番矢後佳也にスルーパスもこれはキーパークリア。

 中々ゴールまで迫れない矢板中央であったが、前半28分フリーキックのチャンスからFW18番森本ヒマンが長身を生かしたヘッド。しかし、これはGK鈴木孔明のファインセーブに合う。

 逆に前半30分日大藤沢MF14番石井峻が中央でドリブルからシュート。これが見事にゴールに決まり、矢板中央は活かしきれないチャンスが仇となった。さらに続いて前半33分、日大藤沢MF10番蛭田悠也が絶妙な緩急で右サイドを突破。ギリギリの所でDFに阻まれるも、ゴールを脅かす。

 なんとか1点を返したい矢板中央は前半35分、4番CB川上優樹が左サイドを気迫で攻めあがるも、MF6番石坂尚己に阻まれる。続いて38分、コーナーのチャンスを得た矢板中央MF7番坪川が綺麗な放物線を描いたクロスを上げる。これに合わせたFW11番大畑のヘッドは見事ゴールに吸い込まれる。

 これで前半終了かと思われた前半ロスタイム3分、コーナーを得た日大藤沢はDF3番小野寺健也が打点の高いヘッドで渾身のヘッドを決める。DF3番小野寺、DF4番工藤泰平のセンターバックは矢板中央18番森本ヒマンのフィジカルに見事に対応していた。

 ここで前半終了ホイッスル。日大藤沢が2-1のリードで折り返す。「ミスを恐れるな、本気で」という日大藤沢のベンチとは対照的に、矢板中央ベンチでは静かだが真剣なまなざしで監督に耳を傾けていた。

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