前半からフルスロットルで、攻勢を仕掛けたのは市立船橋だった。地元開催ということで、多くの観衆が詰めかけた滝川第二を相手に攻撃陣が躍動。抜群の加速力を誇る最前線のFW永藤歩と2年生ながらトップ下で攻撃のタクトを揮うFW高宇洋が、勇猛果敢に相手を守備陣へと立ち向かった。右サイドハーフのFW矢村健と左サイドハーフのMF工藤友暉も、サイドで相手と真っ向勝負。高い位置にポジションを取る左SB杉山弾斗と右SB古屋誠志郎の援護射撃を受けながら、相手を押し込んでいく。

 

 前半23分には工藤の右CKから矢村がゴール前で粘り、最後はDF白井達也が右足で蹴り込み待望の先制点を奪取。直後の同28分には、白井のロングフィードから永藤が右サイドに抜け出す。ゴール前でGKとの1対1を迎え、慌てることなく右足で逆サイドネットを打ち抜き追加点。攻撃の手を緩めないチームはさらにゴールを目指すと、同39分に高が決定機をつかむ。枠を捉えられなかったが、試合の流れをつかみ前半を終えた。

 後半のファーストチャンスも市立船橋。後半9分に永藤とGK桑原拓都と競り合いから、こぼれ球を高がプッシュ。滝川二の捨て身のディフェンスを前にゴールとはならなかったが、相手に付け入る隙を与えないゲーム運びをしてみせた。

 「トータルで前半から持たないのは分かっていた。前半は辛抱して、後半は前にスピードのある選手を投入することで勝負をしたい」(滝川二・松岡徹監督)という、狙いを持っていた滝川二が後半の中盤以降に猛攻を仕掛けた。同31分にはMF田中聖也の抜け出しから決定機。しかし、ここは市立船橋の守護神・GK寺尾凌が体全体を使ってシュートストップする。残された時間で地元開催の意地を見せたい滝川二に対して、主将MF椎橋慧也やDF杉岡大暉らが最後まで奮闘。市立船橋守備陣は最後まで崩れず完封勝利を収めた。「今年は全体のバランスが非常に良い」(朝岡隆蔵監督)と、自信を見せる市立船橋が2年ぶりの総体Vに向け、盤石の態勢で準決勝へと挑む。 

(取材・文・写真 松尾祐希)