プレーヤーにとって高校卒業後の進路選択はその後のサッカー人生を左右する一つの分岐点。それぞれが高校サッカーの3年間を糧に新たなステップへと環境を移す。夢のJリーガーとなって日本最高峰の舞台へと進む者、4年間での更なる成長を期待し大学への進学を選択する者、あるいはその他の道を選択する者もいるかもしれない。高校サッカードットコムでは2014年シーズン高校サッカー界の主役を担った選手たちの進路を追った。

【vol.1「高校→プロ」】
 これまで日本サッカー界を背負い、トップに君臨してきた選手はその多くが高卒プレーヤーである。実際、今年1月に行われたAFCアジアカップに選出された代表メンバーを見てもほとんどが高校卒業後そのままプロ入りを果たしている選手であるように、早い段階でその才能が評価されJリーガーとなった選手が日本代表まで登り詰めるケースが多い。そんな将来を嘱望される高卒Jリーガーは今年も「高校→プロ」の道を辿って多く誕生した。

中島賢星(画像は選手名鑑より)

■超高校級と謳われた“ヒガシのエース”は幼少期を過ごした地へ。
 「主将」と「エース」。二足の草鞋を履き、名門東福岡に17年ぶりとなる日本一のタイトルをもたらしたMF中島賢星は横浜F・マリノスへ入団。これまでU-18日本代表など年代別の代表チームにも選出され、2014年度総体(インターハイ)ではチームの優勝に大きく貢献するなど抜群の実績を誇る万能型アタッカーは、小学校時代を過ごした横浜の地でプロになることを選択した。中島は小学校3年時から横浜F・マリノスの下部組織である「横浜F・マリノスプライマリー追浜」でプレー。その後引っ越しに伴い退団となるわけだが、アビスパ福岡や清水エスパルスなど複数クラブからのオファーを蹴って自身の原点となった地でのプロ生活スタートを決めた中島にとって、最良の選択であったことは入団会見で語った言葉にも現れる。

「幼かった僕に、夢や希望、そして憧れを抱かせてくれたこのクラブで、プロサッカー選手としての第一歩をスタートできるということをとても嬉しく思います。」

 昨年11月に東福岡高校で行われた記者会見に、ヴィッセル神戸への入団となったチームメイトMF増山朝陽と共に登場した中島は力強くそう語った。将来の代表入りを熱望される期待のルーキーがトリコロールのユニフォームをまとってデビューを果たす日はそう遠くないだろう。

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