DF武山遼太郎(和歌山工)

和歌山予選
 誰も予想しえなかった大波乱が起きたのが、和歌山県予選だ。インターハイ8強の初芝橋本が選手権予選でも本命視されていたが、FW大谷澪紅(3年)の負傷が響き、持ち味が発揮できず、近大和歌山に準々決勝で敗退。勝利した近大和歌山も今年は貪欲にゴールを狙うスタイルが印象的な好チームだったが、ジャイアントキリングを起こし、燃え尽きたせいか、準決勝では良さを発揮できず涙を飲んだ。反対の山でも波乱が起き、前年王者の和歌山北が準々決勝でPK負け。勝者となった和歌山工業が勢いのまま大会を制した。30年ぶりの選手権出場となる和歌山工は長きに渡って、取り組んできた3-4-3でのポゼッションサッカーが実った格好だ。県1部リーグでは低迷したが、試合を重ねるごとにMF岩橋陽世(3年)やFW武山遼太郎(3年)を中心とした攻撃の精度がアップ。前線でもFW田中彪(3年)らが結果を残したことが躍進の原動力となった。決勝に残ったもう1チームの和歌山南陵も大会のサプライズと言える。2016年の再開校と共に部が立ち上がった4年目の若いチームで、今予選では攻撃陣が思い切りの良いプレーを披露。DF宮口大輝(3年)、MF春日雄至(3年)のチャンスメークをエースのFW江川公亮(3年)が活かし、部の新たな歴史を作った。

(文・写真=森田将義)
▽第98回全国高校サッカー選手権予選
第98回全国高校サッカー選手権予選