PK戦を制した昌平イレブン(写真=矢島公彦)

 一方の昌平は3度の準々決勝で初の4強入りを目指す。10月から指揮をとる村松明人監督の下、アイデアに富んだテクニカルなサッカーをベースに最激戦区を勝ち抜いてきた。奈良育英(奈良)との初戦を7-0で勝ち抜けたが、以降は苦しい戦いを強いられた。2回戦ではU-18高円宮杯プレミアリーグEAST勢の米子北(鳥取)と対戦。後半の立ち上がりに1点を先行されると、その後はボールを支配しながら決め切れない展開が続く。残された時間はアディショナルタイムのみ。誰もが敗戦を覚悟したが、ラストプレーで途中出場の1年生アタッカー・長璃喜が同点弾をゲット。これで息を吹き返すと、PK戦を制して16強に名乗りを挙げた。3回戦もU-18高円宮杯プレミアリーグEASTに籍を置く大津(熊本)に苦戦を余儀なくされる。10番のMF長準喜(3年)を軸に攻勢を仕掛けたが、2度のリードを許す展開に。それでも1-2で迎えた78分に長璃がまたしても同点ゴールを奪い、PK戦では2年生GK・佐々木智太郎の活躍で勝利を手繰り寄せた。攻撃力はもちろん、今大会は今までにない勝負強さがある。守備面も安定感を増しており、ボールを奪われても即時奪回を貫けるのは今のチームの強み。2020年大会では準々決勝で青森山田に敗れているが、攻守が一体となった戦いでライバルの牙城を崩せるか注目だ。

(文・写真=松尾祐希)

▽第102回全国高校サッカー選手権
第102回全国高校サッカー選手権