セレッソ大阪U-18から移籍しきたMF千葉大舞(興國)
2021年度も4人の高卒Jリーガーを輩出した内野智章監督率いる興國高校サッカー部。興國では毎年、プロ入りを決めた選手が自分の背番号を後輩に引き継ぐのが伝統だ。昨年は横浜F・マリノスに進んだ樺山諒乃介が1年生のMF宮原勇太に背番号10を引き継ぐなど、背番号と共に意思も受け継ぐことになる。
その興國も1月に新チームがスタートし、今年もプロ内定者の背番号継承式が行われ、DF坂本稀吏也(モンティディオ山形)の3番、FW荒川永遠(モンティディオ山形)の7番、MF向井颯(福島ユナイテッド)の8番、MF永長鷹虎(川崎フロンターレ)11番が後輩へと引き継がれた。
そして今回、永長から11番を引き継いだのが1年生のMF千葉大舞(ちば ひろむ)だ。千葉はセレッソ大阪U-15出身で、U-18に昇格するも昨年の9月に興國に移籍してきたU-16日本代表MFだ。内野監督は千葉について「ポジショニングも良いし、ラストパスも出せるしシュートも上手い」と新チームではチャンスメイクやアタッカーとして期待されている。
キャプテンのMF宇田光史朗は「セレッソから来て戦術に悩んでると思うけど、代表も経験していてめちゃくちゃ上手いので、持っているものも凄いので期待しかない」と、あとは興國のサッカーに慣れるだけと期待すれば、DF常藤奏も「代表経験もあるし、すべての能力が高くてフィジカルもある」と千葉の能力の高さについて話す。そんなMF千葉大舞に背番号を受け継いだ感想や、今年にかける意気込みなどの話を聞いた。
ーーセレッソ大阪U-15ではどんな選手でしたか?
一応9番をもらっていたので、"自分が決めないと"という責任感と、"このチームを勝たせないと"という責任感もあって、そういう役目だと思っていたので負けた試合でも、全て自分の責任だと感じていました。
ーーU-16日本代表にも選ばれていましたが、代表ではどうでしたか?
代表の時は経験というよりも、誰よりも目立って上に行こうと思ってやっていたので、代表から自チームに戻ってもその意識を持ち続けてやってきたので、今は興國にいると思うし、セレッソのジュニアユースと代表が自分には凄く大きかったと感じています。
ーーセレッソ大阪U-18に上がって何月に興國に移籍したんですか?
9月ですね。元々興國高校に通っていて、サッカー部に入る事になりました。
ーーそのきっかけは何だったんですか?
元々興國のサッカー部に入るつもりはなかったんですけど、セレッソを退団することになった際に、担任の先生とも相談したんですが、転校するのも簡単にはいかないので、「興國のサッカー部に来た方が良いんじゃないか」となって、最初は練習参加で体験してみたんですけど、自分が思っていたより戦術だったり、足元を大事にしていたので、"自分の足りないところを補えるな"と凄く感じて、"凄く楽しいな"とも感じて、もう一度サッカーに魅力を感じたというか、世界で通用する選手になる為にはここなのかなと思って決めました。
ーー坂本くんや向井くんもセレッソから移籍してきてプロ入りを決めましたが、そこの影響もありましたか?
先輩たちがここに入ったから僕も入りたいというのはなかったですけど、先輩方もここに来た時に顔が晴れやかというか、スッキリしていたので、"楽しいんだろうな"とは思っていました。Jと高校の違いも感じましたし、僕も昔から高校サッカーを夢見ていましたし、Jにもいきたいという気持ちもあったので、凄く迷っていたんですが、その中でも高校サッカーで興國を選んだのは正解なのかなと感じます。
興國で成長し、高卒海外を目指すMF千葉大舞
ーーセレッソを離れる寂しさとかはなかったですか?
そうですね。自分の中では決意をしていたので、寂しさというよりも、結果を残せていない悔しさの方が強かったですね。
ーー9月から興國に実際に入ってやってみてどう感じていますか?
思っていた以上に楽しいです。自分ではJの方が上だと思っていたんですが、足元の部分では僕よりうまい選手が興國にはいっぱいいるので、足元の部分で"頑張ってついて行こう"という気持ちと、それだけじゃ足りないですし、他の部分で自分のオリジナルを入れないと代表にも入れないと思うので、もう一回代表に帰るには自分の努力とか、ここでしかできない事を沢山やってもう一回代表に入りたいと思っています。
ーーJユースと高体連の違いってどの辺に感じますか?
セレッソは一人一人の育成を大事にしていて、こっちはチームや集団で戦っている感じがあります。どっちがいいのかは僕にはわからないですけど、僕は両方経験出来たことが大きいかなと思っています。
ーー興國は高校の中でも大人数のサッカー部ですが、そこはどうですか?
覚えるのも難しいですけど、色んな選手とコミュニケーションが取れるし、他のカテゴリーでも上手い人がいるので、色んな人の足元を真似して吸収したいと思っています。どこでやっていてもAチームに入れるチャンスはあると思いますし、自分も最初はBチームからだったので、Bチームでもみんな上手かったです。自分は才能では1番だと思っていたんですけど、それが全然違っていたので、高校サッカーのレベルも上がっているように感じます。
ーー永長くんから11番を引き継ぎましたが、その経緯を教えてもらえますか?
最初に観てもらった時は僕が怪我明けでコンディション的にも悪かったので、その中でも選んでもらったのは凄く嬉しいことですし、関西 U-16~Groeienでも"何とかして活躍しよう"という気持ちでやっていたのを鷹虎くんが観に来てくれて、チームを勝たせる選手として「プリンスでもチームを勝たせて欲しい」と言われたので、凄く重圧はありますけど、その言葉を背負ってやっていきたいなと思っています。今は凄くプリンス開幕や、インターハイが待ち遠しいです。
ーー永長くんは去年凄いプレーを連発していましたが、それをみていてどう思いましたか?
あれは"誰にも真似できないな"と感じていました。受け継ぐには自分のオリジナル、鷹虎くんにも負けないところをもっと伸ばしていかないとなと思っています。僕の場合は得点力だったり、前線でのアイデアだったりはもっとバリエーションを豊富にしないといけないですし、ドリブルも興國のオリジナルの型があって、凄く難しいのでまだまだなんですが、この2年間で鷹虎くんに少しでも追い付いて、自分のオリジナルをつけていって、3年生になった時には高卒で海外という目標に届くようにやっていきたいと思います。
ーー今年の目標はどうですか?
樺山くんとかは高2で選手権に出ていて、チームも凄く有名になったので、もう一回興國という名前を全国に知らしめる為にも、今年はインターハイと選手権で大阪のてっぺんを取りたいと思っています。自分は去年全然伸びなかったので、今年は飛躍の年にしていきたいと感じています。それと自分自身、上に上がっていくにつれてドリブルからシュートっていうシーンが少なくなってきているので、それを増やしていきたいですし、今はウイングをやらせてもらっているので、キレのあるドリブルだったり、カットインからのシュートだったりを今年は課題としてやっていきたいと思います。
(文・写真=会田健司)