写真:清水知良

――カラースパイクを?
 最先端やから気持ち良かったんですけど、いまは誰もがカラースパイクじゃないですか。だから、やっぱり黒のアッパーで白のラインで、シンプルなのが一番いい。で、この白いラインを磨いていくとちょっと黒くなるのが、一番カッコええなあと思って。その昔、ビスマルクがミズノのスパイクを履いていて、ラインを黒く塗っていて、それがカッコええなあと思ったんですけど、ビジネス的なものなんだとあとから聞いて。

――ラインを塗り潰すのは、「恋人募集中」のメッセージですよね。
 そういうことやったんかと、あとから思いました。あれはヴィッセル神戸にいたときで、確か2003年だったかなあ……ブラジル代表の流れで、ナイキもカッコええなあと思ったことがあって。ロマーリオとかロナウドも履いてたので、練習で一度だけ試し履きしたことがあったんですよ。全部黒く塗って。

――長いキャリアでは、そういうことも一度くらいはあるはずです。というか、そういうことをしたことがある選手は、播戸さんだけでないでしょう 。
 そうしたら、カズさんにすぐに言われました。『おいバン、何を履いてんだよ、プーマじゃなきゃダメだろ」って。『あ、そうですよね』って(苦笑)

――すぐに気づくカズさんがすごい!
 いまならそんなことは絶対にしませんし、後にも先にもそれ一度キリなんですけど……。実際に履いたら、やっぱり自分の足には合わんかった。自分はプーマじゃなきゃダメだと、改めて知るきっかけになりました。

 第2回に続く。

【記事提供元】KING GEAR
取材協力:大宮アルディージャ   
取材:戸塚啓  写真:清水知良