写真:清水知良

 ひとつのスパイクをこんなにも信頼して履き続けることができるのは、フットボーラーとしてとても幸せなことなのかもしれない。播戸竜二が抱くパラメヒコへ思いは、どこまでも尽きない。

――パラメヒコでいちばんお気に入りのところは?
 シンプルさじゃないですか? シンプルだから飽きがこなくて、ずっと愛されているんだと思う。飾らない感じが好きですね。洋服もゴチャゴチャしていないのが、僕は好きなので。

――軽さはさほど重視しない?
 軽いスパイクを履いたことがないから、僕にはパラメの重さが自然なんです。軽いスパイクを履いたら足が速くなるかって言ったら、そんなことはないでしょう? それほど変わらないよなあ、と思いますよ。重さよりも素材ですね。

――パラメヒコを愛しているわけですから、もちろん天然皮革がいい?
 人工皮革がいいって言う選手もいますけど、僕は皮がいいですね。使っているうちに少しずつ皮が伸びてきて、ほどよく足に馴染むので。最初に履いた時はちょっとキツくて、水をかけてその日は履いて、しっかりと足に馴染ませる。使い終わったらシューズキーパーをちょっと大きめに入れる。それで、キュっと伸びるというか。天然皮革は履くと縮むので、シューズキーパーを中に入れておかないと次の日は固くなって小さくなっちゃうんです。履いたらしっかり磨いて、シューズキーパーを入れて伸ばして、っていう作業ですね。

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