湘南ベルマーレ 坂本紘司副社長GM©︎SHONAN BELLMARE

 湘南ベルマーレのレジェンドとして知られ多くのファンから愛された坂本紘司氏。静岡学園(静岡)からジュビロ磐田に入団するも出場機会に恵まれず、2000年に湘南ベルマーレに移籍すると、主に前線の選手として多くの試合に出場。2012年に現役を引退すると、フロント入りし、現在は副社長GMとしてチーム作りに奔走する日々を送る。今回はそんな“ミスターベルマーレ”こと坂本紘司副社長GMに、フロントとしての仕事内容などをうかがった。

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ーー昨年までSDは(スポーツディレクター)を担当されていて、今シーズンからは副社長GM。SD時代の主な仕事の内容はどういったものでしたか?

 選手との契約からスカウティング、フロントと現場のつなぎ役など幅広くやることがあって、その辺りは全部やっていましたね。スカウティングに関しては、アマチュア(高校・大学など)の選手は別の者が担当していたんですけれども、Jリーグや海外の選手などは自分で見てスカウティングしていました。

ーーそもそもSDの経験がなかったというところで、どんなところに苦労しましたか?

 選手との契約ですね。まず選手と契約を締結するのに、ほとんどの場合、選手に仲介人が付いているので、そういう方との交渉が大変でした(笑)。最初はクラブで提示できる金額を伝えるんですけれども、大体が「もっと欲しい」と言われます。ただ私もSDを長く担当したので、「このエージェントさんはこういう交渉をしてくるな」とか、だいたい形が見えてきたので、今はそういうものも踏まえて契約交渉をするようにしていますね。始めた当時は人脈なども少なかったですし、そういうのを一からやるのは大変だったなと記憶しています。

ーー昨シーズンの成績については、どう思われていらっしゃいますでしょうか?

 クラブの規模や置かれている環境や状況を考えると、成果というかチーム力の積み上げなど、クラブとしては向上している感覚はあります。ただ、当然「5位を目指す」と目標を掲げた以上、達成できていないことからすると、いろいろなものが足りなかったんだなと感じています。ただ、試合の内容、データなど他のJ1チームと対比してみても、いい数値がたくさん出てきていて、「上位を目指していく」という根拠になるような数字が上がってきていて手応えを感じている部分もあります。

 「5位以内」という目標を掲げたのは突発的に難しい目標を掲げたのでなく、そういった数値が出てきているからであって、その数値を根拠にして上位を目指していくというきっかけになった1年にはなったのかなと思います。昨シーズンは目標を達成できなかったんですけれども、今シーズン以降がとても楽しみになるような積み上げができた1年ではあったかなと感じています。

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