引退試合で胴上げをされる坂本紘司氏©︎SHONAN BELLMARE
多くのサポーターから愛された湘南ベルマーレのレジェンド坂本紘司氏。現在では副社長GMとしてチームの強化に取り組む坂本氏に、チームの特徴をどう出していくか、ユース年代に意識して取り組んでいたことなどの話を訊いた。
ーー神奈川には横浜F・マリノスや川崎フロンターレなど多くのチームがありますが、その中で特徴を出していくにはどんなことが必要だと考えていますでしょうか?
湘南を選んでくれた選手がステップアップしていく、巣立っていく最初のクラブであるというのが、他のクラブとの違いだと思っています。若い選手やアカデミーから昇格し湘南に入ってきた選手が湘南を経由して日本代表に選出されたり、海外でプレーするなど羽ばたいていってくれている。本当はずっとチームに居てくれる方がありがたいんですけれども(笑)、そういう「クラブが選手を育てる」というものが特徴だと思っているので、そこは大事にしていきたいなと思っています。
ーーU-18など下部組織としては今後どのような展開を考えられていらっしゃいますでしょうか?
もちろん直近でプリンスリーグに上がりたいという目標はクラブとしても掲げてはいるのですが、それ以上に考えているのは、選手を少しでも成長させること。例えばユースの公式戦と被るような日程であったとしても、トップチームに参加できて、その方がその選手にとって成長を促進するような機会だと判断した時は、ユースの選手をトップチームに呼んだりしています。
やはり、プロクラブの組織である以上、いかにトップチームにいい選手を上げるかということにも重点を置いているので、最近では田中聡がベルギーに移籍したんですけれども、何年かに1人、ユースからタレントが出てくるというのは1つの価値だと思っています。アカデミーとしてはカテゴリー昇格も目標にしつつ、1人のタレントを輩出するということも目指している。そこに我々は価値を感じているというか、特化してやっているという部分もあります。
ーー下部組織からのトップチーム昇格にはどういった部分を見ていて、どういったことが必要だとお考えでしょうか?
1つは何か特徴があるかどうかということだと思います。できないことがあったとしても1つズバ抜けた特徴がある選手というのは魅力的だなと。高校年代で「ある程度完成されてますよ」という選手を上げるよりは、未完成な部分も多いけれど「1つだけ尖っている」という選手の方が魅力を感じるので、何か抜きん出ている部分をよく見るようにはしています。
あとは「賢さ」ですかね。やっぱりプロになってつまずくのは、環境や求められることの変化についていけないという選手が多いので、考える力というのは大事だなと思います。