母校を初の選手権16強に導いた松山北・兵頭龍哉監督

成長し続ける63歳指揮官と選手権V経験コーチの融合

 一方で兵頭監督をはじめとする指導者たちも成長の種をまき続けた。前回2003年度から9年間、松山北に赴任した際に母校を2度の選手権出場に導いた指揮官は、今治西赴任時に岡田武史・元日本代表監督がオーナーを務めるFC今治が今治地区のサッカーを発展させるべく広めた「今治モデル」に触れることに。プロ化前の愛媛FCで選手・コーチ・監督も務めたこともある兵頭監督は「いわゆる『岡田メソッド』による指導方法の言語化など、FC今治のアカデミーコーチを通じで数多く学ぶことがあった」ことで、指導の引き出しを50代後半にして大きく広げていく。

 かくして2022年4月、60歳にして松山北二度目の指揮を任された兵頭監督は、昨年度から前回、松山北赴任時にもタッグを組んだ大西貴氏を招へい。第68回全国高校サッカー選手権優勝を果たした南宇和で主将を務め、サンフレッチェ広島、京都サンガF.C、愛媛FCでDFとして活躍した後、JFL時代の愛媛FC監督を歴任。愛媛FCユース監督としてもDF前野貴徳(現J1鹿島アントラーズ強化・スカウト担当スタッフ)を育てた氏は、夏を過ぎると毎週水曜日に自らが監督を務める松山大とのトレーニングマッチを組み、愛媛県内ではなかなか味わえない強度を積んだ。大西コーチがその効果を振り返る。

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