―――高校生年代と向き合うに当たり、最も大切にしていることとは?

 うちのアカデミー出身で、講師としてお手伝いしてくれている大学生にも伝えているのですが、育成年代は中学生までで高校生はもうプロに上がっていく年齢なので、そこを視野に入れた指導がとても重要になってきます。Jリーグは今年4月から、プロ契約を締結できる年齢制限を満16歳以上から、満15歳に達した日以後の最初の4月1日以降に変更したので、早ければ中学卒業後の4月にはプロ契約を結べるようになるわけですから。私は現役の頃から若い年齢でプロになるのがいいと感じていましたし、指導者になった13年前からもそういうことを意識してきました。

小澤英明さん

―――なるほど。それでは中学生年代の指導で最も大切にしていることは何でしょうか?

 私が特に心掛けているのが、“入り過ぎず、離れ過ぎず”ということです。それは技術面でも精神面でも、私生活においても、すべての局面に共通したことです。多感な時期なので、その子に入り過ぎるとどこかに警戒心が生まれてしまう。一定の距離を保つことが肝要になります。教え過ぎると「そんなこと分かっている」。あまり教えてあげないと「自分は無視されている」となる。接し方は本当に難しいものですね。

―――それは経験する中で失敗から学んだ教訓ですか?

 アカデミーを立ち上げた頃から心掛けてきたことではありますが、この13年で少しずつブラッシュアップさせ、自分自身も成長させてもらいました。

―――GKが身に付けておくべき絶対的な条件はありますか?

 誰でも平等にできると考えていた時期もありましたが、現役でプレーする期間が長くなっていった時や、指導の現場に携わるようになると、GKのポジションに就ける選手は限られているんだと考え方に変化が出てきました。その理由はまず、GKに適した性格は柔軟性が必要で、戦える肉体も不可欠だからです。

 サッカーは体に負担のかかるスポーツですが、GKはフィールド選手に比べて特殊な仕事です。パワーやフィジカルがあるだけでは通用せず、反対にあり過ぎるとけがをしやすい。肉体的、精神的な「調整力」がないと難しいと思います。

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