―――指導する喜びとは?

 すべてですね。私は子どもたちにも保護者様にも小澤コーチではなく、「ひでさん」と呼んでもらいます。指導者ですが、子どもたちとサッカーを通じて共鳴し合っているんです。私の知らないことを知っている子どもも大勢いるので、こんな見方をするんだと感心させられることがありますね。

 例えば「練習中にチームがバタバタしている時、GKとしてどんな行動をしようか」と全員に尋ねました。「声を掛ける」「手をたたく」「みんなで盛り上げる」という中で、ハーフタイムに「トイレに行かせる」と提案したGKがいました。確かにトイレに行く前はそわそわすることがあるので、追い込まれた選手とチームを救う手段のひとつです。GK目線での感覚ですが、私は子供たちの純粋な発想を大事にしています。

アルビレックス新潟時代の小澤英明さん

―――スパイクのほか、GKはグローブの手入れにも余念がありません。

 グローブに救われたケースというのは実に多く、それはぎりぎりのところでボールを弾いて失点を防ぐだけではなく、怪我をしてもおかしくない状況を保護してくれることもあります。ですから用具を大事にしてほしいですね。グローブを使った後は汚れをシャワーなどで落とし、クリーナーで手入れをして日陰干しするのがいいです。

―――現代GKに一番求められていることとは?

 高いマネジメント能力です。自陣はGKがバランスを取り、試合をコントロールすることが一層求められています。GKのパスひとつで流れが変わることもある。これは高校生にとっても大切な要素と言えます。

―――高校生や中学生GKへのメッセージをお願いします。

 自分の個性を伸ばし、プレースタイルに生かしてほしい。それを最大限に表現することです。GKにもいろいろな特色の選手がいますが、自分はこんなGKだと誰にでも自信を持って言えるようになってもらいたい。自分にはこんな武器と特長があるので、これを戦い方にも取り入れていただきたい、と監督に伝えられるだけのGKを目指してほしい。やはり個が生きてこないとチームを勝利には導けません。身体能力が高いだけ、まじめなだけでは物足りない。誰よりも個の力が強くないといけません。

 2番手、3番手、4番手GKとは周りが決めていることであり、1番は自分でここは俺の居場所だという自負心と責任感が必要。それだけの練習を積み、それだけの情熱を持ってサッカーと向き合い、ゴールマウスに立っているという思いが大切なのです。

(文=河野正)