咲本はJ1、J2の3チームに練習参加したが、色の良い返事はもらえず。川田も春休みと7月に別のJ3クラブに練習参加したが、獲得のオファーは届かなかった。ただ、「プロという世界にいち早く飛び込んで、厳しい世界の中で揉まれながらやっていきたかった」と話す川田が練習参加によって内定をつかみ取ると、以前からFC大阪の強化部が熱視線を送っていた咲本にもオファーがあった。咲本には関東の強豪大学からも話があったが、「大学で4年間サッカーをしてもプロになれる保証はどこにもない。プロになれるチャンスがあるならなりたかった」と即決したという。

 プロの世界は高卒で活躍できるほど甘い世界ではないことは、クラブも選手もよく分かっている。だからこそ、これまで7年間FC大阪では高卒ルーキーの獲得がなかった。ただ、来季は彼らにとって追い風も吹く。「来シーズンはシーズン移行が行なわれるので特別シーズンが存在する。昇降格のない半年のシーズンをどのように過ごしていくか。このタイミングでプロに入れるのは非常にポジティブなこと」と近藤社長が口にする通り、若い選手が出場機会を得やすい状況であるのは間違いない。高卒でのプロ入りは2人にとってスタートライン。ここからチャンスを物にし、日本代表や世界へと飛躍していくつもりだ。

(文・写真=森田将義)