存在感を示した青森山田のMF田澤夢積(写真=松尾祐希)

 8月18日に行われた全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会の準々決勝。ここまで3試合で19得点を挙げている青森山田(青森)は、東山(京都)に対し、序盤から得点を重ねて5-2で快勝した。好調を維持する攻撃陣のなかで、この試合で存在感を示したのが左サイドハーフの田澤夢積(3年)だ。

 最初の見せ場は1-0で迎えた前半19分。MF藤森颯太(3年)が右サイドを突破すると、ゴール前に折り返す。ニアサイドと中央で合わせられなかったが、田澤が猛然とファーサイドに走り込む。難なく決めて、チームに勢いをもたらす2点目を奪った。これで勢いに乗った田澤は4-0で迎えた後半15分にも見せ場を作る。SB大戸太陽(3年)が右サイドを駆け上がり、深い位置を抉ってゴール前にクロスを供給。ここに再び田澤が合わせ、鮮やかに勝負を決める5点目を奪った。

 田澤は26分にお役御免。その後に2失点を喫したものの、チームはリードを守り切って2014年度以来となるベスト4進出を決めた。

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 元々、田澤はトップ下を本職とする選手で、春先はレギュラーではなくベンチスタートが多かった。転機になったのは3月。サイドハーフで起用されると、瞬く間に評価を高めてポジションを掴んだ。コンバート直後は自身の役割を理解できずに悩むこともあったが、経験を積んでサイドハーフの動きを理解すると自身の景色が一変。とりわけ、浦和との開幕戦でゴールを奪ったことは自信を深める契機になったという。

 「決定力が課題だったけど、決定力が上がってきたので良かったと思う。浦和戦のゴールで自信がついたし、波に乗れたと思います」

 今大会は準々決勝のゴールを含め、4戦3発。だが、本人は満足していない。その理由を田澤はこう話す

 「選手層が厚いので、結果を出し続けないとポジションを奪われてしまう。なので、結果にこだわってやらないといけない」

 ベンチには、田澤がレギュラーの座を掴むまでに試合へ出ていたMF小原由敬(3年)が控えており、少しでも気を抜けば、ポジションを奪われてしまう。そうした強い危機感がさらなる成長を促す原動力になっている。

準決勝の相手は2年前の高校サッカー選手権・決勝で敗れた静岡学園。全国トップクラスの実力を持つチームからゴールを奪えれば、周囲からの見方がさらに変わるのは間違いない。得意のドリブルと高まってきた決定力を武器にチームを勝利に導くゴールを奪えるか注目だ。

(文・写真=松尾祐希)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
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