最終盤は相手のパワープレーを跳ね返す時間帯が続いたが、CB田所莉旺(3年)を軸に凌いでタイムアップ。15年ぶりの出場となった帝京が開幕戦を制し、17年ぶりとなる選手権での勝利を手に入れた。
「ハラハラするようなゲームでした」と振り返ったのは藤倉寛監督。かつて98年度大会で選手権準優勝をキャプテンとして経験しているOB指揮官は試合後の記者会見で、ホッとした表情を見せた。「いろんな想いを背負ってここにきている。何年ぶりかに戻ってきた選手権で国立。この1試合にフォーカスするのは難しい試合でした」という言葉からも、重圧があったことがうかがえる。それでも、選手たちは諦めずに最後まで戦い、終盤に追い付かれてもリバウンドメンタリティーを発揮して勝利を引き寄せた。苦しかった時代を乗り越えて掴んだ一勝は大きな価値がある。物語は終わりではない。新たな歴史を作るべく、“新生帝京”の戦いはまだ始まったばかりだ。
(文=松尾祐希 写真=矢島公彦)
▽第103回全国高校サッカー選手権
第103回全国高校サッカー選手権